堆肥作りは好気発酵と嫌気発酵の見極めが核心で、切り返しタイミングと水分調整を誤ると未熟なまま畜舎へ戻す悪循環に陥る。

主要データ

  • 家畜排せつ物の年間発生量:約8,400万トン(農林水産省「畜産環境対策の推進」、2024年度)
  • 堆肥化処理率:88.3%(農林水産省「家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針」、2025年改定)
  • 堆肥の完熟判断温度:外気温+5℃以下で3日間維持(畜産試験場基準)
  • C/N比の適正範囲:20〜25(農研機構、2024年)

堆肥作りで9割の畜産農家が誤解している発酵の実態

堆肥作りは「積んで切り返せば勝手に発酵する」と受け止められがちだが、実際には山の内部で空気、水分、温度がそろわなければ発酵は偏りやすく、宮崎県の酪農家が牛糞を堆肥舎に山積みにして2カ月放置した際も、表層30センチだけ黒く変色した一方で、内部は生糞のまま固まって悪臭を放った。

切り返しを1度もしなかったため、中心部は嫌気状態に陥った。結果として、アンモニア臭が畜舎全体に充満した。

現場で頼りになる判断材料は「温度」と「匂い」、そして「握り試験」の3点であり、教科書では「60℃以上で発酵」と簡潔に示されるものの、実際には温度計を堆肥山に差し込み、深さ50センチ・中心部・表層の3点で温度差を見て、山のどこで発酵が進み、どこで停滞しているかを読み取る必要がある。

この温度差が10℃以内に収まっていなければ、発酵ムラが起きていると考えられる。数字だけでは足りない。

農林水産省の「家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針」(2025年改定)によると、国内で発生する家畜排せつ物は年間約8,400万トンに達し、そのうち堆肥化処理率は88.3%まで上昇しているが、この数値は「堆肥化処理を行った」という申告ベースであるため、実際に完熟堆肥として圃場投入可能な品質に達しているかどうかまでは、そのままでは読み切れない。

未熟堆肥の持ち込みは、圃場で表面化する。北海道十勝地方の大規模肉牛農家では、切り返し回数不足のままC/N比が35の堆肥を畑に入れた結果、窒素飢餓で作物が黄化しており、堆肥化の失敗は堆肥舎の中だけで終わらないことが見て取れる。

完熟堆肥と未熟堆肥を分ける3つの物理指標

完熟堆肥の判断基準として、農研機構が2024年に示した指標は3つあり、第一に温度が外気温プラス5℃以下で3日間維持されること、第二にC/N比が20〜25の範囲に入ること、第三に握り試験で手に水分が残らず崩れやすい団粒構造になっていることで、どれか1つだけではなく組み合わせて見るのが実務に近い。

温度管理で陥りやすいのは、表層温度だけを見て「冷えたから完熟」と決めてしまうことだが、岩手県の養豚農家では堆肥山の表面温度が25℃まで下がった段階で完熟と判断して畑に投入したところ、施肥後に再発熱して作物の根を焼いており、中心部は依然として45℃を保っていた。

表面は静かでも、内部は終わっていない。そこが難しい。

C/N比の測定は専門機関に依頼すると1検体あたり5,000〜8,000円かかるため、現場では簡易的な握り試験と匂いで見極める農家が多いが、完熟堆肥は握ると土のような団粒になり、鼻を近づけても刺激臭がしない一方で、未熟堆肥は握ると水分が滲み、アンモニア臭や酸っぱい匂いが残る。

茨城県の養鶏農家では、鶏糞堆肥のC/N比を15まで下げるためにもみ殻を容積比で3割混合しており、鶏糞単体ではC/N比が8〜12と低すぎて窒素が揮散しやすいが、炭素源を加えることで微生物の分解が進み、窒素の固定化も進みやすくなる。

握り試験の具体的手順

握り試験は、堆肥を手のひらに取り、ギュッと握りしめた後に手を開いて観察する方法であり、完熟堆肥なら手のひらに跡が残らず、軽く指で触れるだけで崩れるが、未熟堆肥は粘着性があって手のひらに張り付いたまま残るため、慣れてくると水分と熟度を同時に見分けやすい。

水分率の判断も握り試験で可能であり、理想的な水分率は55〜65%で、握った時に指の間から水が滲まず、崩すと軽く割れる状態を指すが、水分率が70%を超えると嫌気発酵に傾いて悪臭の原因になり、逆に50%を下回ると発酵が停滞して温度が上がらない。

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切り返しタイミングを温度勾配で判断する方法

切り返しを「1週間ごと」「10日ごと」といった固定スケジュールで回している農家は少なくないが、そのやり方では堆肥の状態変化を取りこぼしやすく、実際には堆肥山の温度勾配を見るほうが確かであるため、温度計を深さ30センチ、50センチ、中心部の3点に差し込み、最高温度地点が中心から表層に移動し始めた時を切り返しの合図として捉える。

熊本県の酪農家が続けているのは、堆肥山に園芸用の長さ60センチの温度計を3本常設し、毎朝6時に温度を記録する方法で、発酵初期は中心部が65〜70℃に達し、表層は40℃前後で推移するが、この温度差が5℃以内に縮まった時点で切り返すと、再び中心部が60℃まで上昇する。

毎朝の記録が効く。勘だけでは続かない。

切り返し作業はホイールローダーで堆肥山を崩し、外側と内側を入れ替えるように積み直すが、この時に山の高さは1.5〜2メートルを維持し、底面積を広く取るのが基本であり、高さが2.5メートルを超えると自重で底部が圧密され、空気が入りにくくなる。

栃木県の養豚農家では、切り返し回数を抑えるため、初回の仕込み時に豚糞ともみ殻を容積比1:1で混合し、水分率を60%に調整してから積み込んでおり、この準備を先に整えることで切り返しは2回にとどまり、発酵期間は45〜60日で完熟に達している。

温度が上がらない時の対処法

堆肥山の温度が40℃を超えず、発酵が立ち上がらない場合は、水分率の低下か窒素不足のどちらかが原因であることが多く、水分率が50%を下回ると微生物の活動が鈍るため、堆肥全体に水を散布したうえで切り返しを行い、乾いた部分と湿った部分を均一に混ぜる必要がある。

窒素不足は、おが屑や樹皮チップなど炭素源ばかりを混ぜた時に起こりやすく、C/N比が40を超えると微生物が増殖しにくくなるため、この場合は尿を散布するか、鶏糞を1割混合して窒素を補う方法が現場では選ばれている。

副資材の選択が発酵速度を左右する

副資材は家畜排せつ物の水分調整と通気性確保を目的に混合するものであり、代表的な副資材にはもみ殻、おが屑、樹皮チップ、稲わらがあるが、それぞれC/N比と吸水性、粒子の大きさが異なるため、畜種と排せつ物の性状を見ないまま一律に選ぶと、発酵速度にも臭気にも差が出やすい。

もみ殻はC/N比が60〜80と高く、吸水性に優れるため、水分率の高い豚糞や鶏糞に向いており、群馬県の養豚農家では豚糞1トンに対してもみ殻200〜300リットルを混合し、水分率を65%に調整しているが、軽くて扱いやすい半面、分解は遅いため堆肥化期間は60日以上を見込む必要がある。

おが屑はC/N比が300〜500と極端に高く、単独では窒素不足を招きやすいが、牛糞のように窒素含有量が比較的高い排せつ物と組み合わせると釣り合いが取りやすくなる一方で、粒子が細かく圧密されやすい欠点もあるため、山形県の肉牛農家ではおが屑に稲わらを2割混ぜて通気性を補っている。

樹皮チップは林業地域で入手しやすい。通気性は高い。

岐阜県の酪農家では、地元の製材所から樹皮チップを無償で譲り受け、牛糞と容積比1:0.5で混合しているが、樹皮チップのC/N比は80〜150の範囲で粒子が大きく、嫌気発酵を防ぎやすい一方で、チップに杉やヒノキが含まれると精油成分が微生物の活動を阻害する可能性があるため、針葉樹の割合が多い場合は事前に雨ざらしで抜く処理が要る。

副資材の入手コストと代替案

もみ殻は米作地域では無償または安価で入手できるが、畜産地域によっては運搬コストが重くなり、北海道の一部地域ではもみ殻の代わりにビートパルプ(甜菜の搾りかす)を使う農家もあり、ビートパルプはC/N比が25前後で窒素バランスが取りやすく、発酵も早い。

稲わらは吸水性が低い一方で、長繊維が骨材として働いて堆肥の団粒化を促進するため、佐賀県の養鶏農家では鶏糞堆肥に稲わらを1割混ぜ、ふかふかした土壌改良効果の高い堆肥に仕上げている。

堆肥舎の構造が発酵効率を決定する

堆肥舎は屋根付きで雨水が入らず、床がコンクリート打設されている構造が基本であり、農林水産省の「家畜排せつ物法に基づく管理基準」でも、堆肥舎の床と側壁は不浸透性材料で作り、汚水が外部に流出しない構造が求められているため、発酵管理と環境対策は切り離して考えにくい。

床の勾配は1〜2%に設定し、汚水を集水槽に導く設計が望ましく、汚水には窒素やリンが溶け込んでいるため、そのまま排水すると水質汚濁防止法に抵触する可能性がある。集水槽に貯めた汚水は、堆肥山に散布して再利用するか、浄化槽で処理する。

換気は自然換気が基本で、側面を開放するか有孔壁を設ける方法が一般的だが、強制換気は電気代がかさみやすく、大規模農家以外では採算が合いにくいことも多い。鹿児島県の養豚農家では、堆肥舎の南北両面を全面開放して風通しを確保することで、夏場でも堆肥山の温度が80℃を超えず、臭気の拡散も抑えている。

堆肥舎の容量は、家畜の飼養頭数と堆肥化期間から逆算する必要があり、乳牛1頭あたりの糞尿発生量は1日約50キロ、副資材を加えると約70キロになるため、堆肥化期間を60日とすると1頭あたり4.2トンの堆肥が常時ストックされる計算となり、50頭飼養なら210トン分、堆肥比重を0.6トン/立方メートルとすると約350立方メートルの堆肥舎が必要になる。

小規模農家向けの簡易堆肥化方法

20頭未満の小規模農家では、専用堆肥舎を建設するコストが負担になりやすいため、この場合は野積み方式でも堆肥化は可能だが、雨水が浸入すると水分率が上がって嫌気発酵に傾きやすくなるので、ブルーシートで上部を覆い、地面からの浸み上がりにも注意する必要がある。

長野県の小規模酪農家では、畜舎の軒下に幅3メートル、奥行き5メートルの堆肥置き場を設け、トタン屋根を自作して雨を防いでおり、切り返しはスコップでの手作業だが、堆肥量が少ないため1回の切り返しに1時間程度で済んでいる。

発酵促進剤の効果と選定基準

発酵促進剤は微生物資材や酵素製剤を指し、堆肥化期間の短縮や臭気抑制を目的に使われるが、市販品は1キログラムあたり800〜3,000円と価格帯が広いうえ、効果も製品によってばらつきが大きいため、資材名だけで判断せず、投入量と堆肥条件まで含めて見極める必要がある。

農研機構の試験では、特定の糸状菌を含む発酵促進剤を添加した場合、堆肥化期間が通常の60日から45日に短縮される結果が出ているが、添加量が少なすぎると効果が出ず、多すぎてもコストに見合わないため、適正添加量は堆肥1トンあたり500グラム〜1キログラムとされる。

静岡県の養豚農家では、市販の複合微生物資材を発酵促進剤として使い、豚糞1トンあたり800グラムを混合している。この方法で堆肥化期間は50日に短縮され、臭気も大幅に低減したというが、発酵促進剤のコストは年間約12万円かかるため、切り返し回数を減らす省力化効果と見比べながら判断したい。

発酵促進剤を使わなくても、完熟堆肥を次回の仕込み時に1割混ぜる「種堆肥方式」で発酵は立ち上がりやすく、完熟堆肥には有用微生物が豊富に含まれているため、新しい堆肥へ接種する形で発酵を早められる。

臭気対策としての発酵管理

堆肥化で問題になりやすい臭気はアンモニア臭と硫化水素臭であり、アンモニアは好気発酵でも発生するが、切り返しで空気を供給し続ければ揮散量は減る一方、嫌気発酵に傾くと硫化水素が発生して卵の腐ったような悪臭を放つため、臭気対策は薬剤より先に発酵管理を見直すのが基本になる。

臭気を抑えるには、水分率を60%以下に保ち、切り返しを怠らないことが最も確実であり、副資材を多めに混ぜて水分を吸収させ、通気性を確保する必要がある。福岡県の養鶏農家では、鶏糞にもみ殻を容積比1:1で混合し、切り返しを週1回行うことで、近隣住民からの苦情をゼロにしている。

堆肥の品質を左右するpHと電気伝導度

堆肥のpHは発酵の進行状態を示す指標であり、発酵初期はpHが7〜8の中性〜弱アルカリ性を示し、有機酸が生成される中期にはpHが6前後まで下がるが、完熟に近づくとpHは再び7〜8に戻るため、この変動パターンから外れている場合は発酵が正常に進んでいない可能性を疑う必要がある。

電気伝導度(EC)は堆肥中の塩類濃度を示し、値が高すぎると作物の根を傷める塩害を起こすため、完熟堆肥のEC基準は3.0mS/cm以下とされるが、鶏糞堆肥はECが高くなりやすく、5.0mS/cmを超える製品も珍しくないので、高EC堆肥を施用する場合は施肥量を減らすか、他の有機物と混合して希釈することになる。

愛知県の施設園芸農家では、購入した鶏糞堆肥のECが6.2mS/cmと高かったため、牛糞堆肥と1:1で混合してECを3.5mS/cmまで下げてから施用しており、この対応によって塩害を避けつつ、窒素・リン酸・カリのバランスも改善された。

pH測定の簡易的な方法

pHメーターがない場合でも、リトマス試験紙を使えば簡易測定は可能で、堆肥を水で5倍に薄めた上澄み液に試験紙を浸し、青色リトマス紙が赤変すれば酸性、赤色リトマス紙が青変すればアルカリ性と判断できるが、詳細な数値までは分からないため、年に1〜2回は農協や肥料会社の分析サービスを利用して補うのが現実的である。

堆肥の散布時期と施肥設計

完熟堆肥は作付けの2〜4週間前に散布し、土壌と混和するのが基本であり、未熟堆肥を直前に入れると発酵熱で作物の根が傷み、窒素飢餓も起きるため、秋冬作では9月中旬までに、春夏作では3月中旬までに散布するのが目安となる。

堆肥の施用量は10アールあたり1〜2トンが標準だが、土壌の腐植含量によって調整が必要で、腐植が5%以上ある黒ボク土では投入量を減らしても問題ない一方、砂質土や火山灰土では腐植の蓄積が遅いため、2〜3トンの多めの施用が推奨される。

堆肥中の窒素は速効性と緩効性に分かれ、速効性窒素は施用直後から効き始め、緩効性窒素は微生物分解を経て数カ月かけて放出されるが、完熟牛糞堆肥の場合は窒素全体の約2割が速効性、8割が緩効性とされるため、化学肥料の窒素量を2〜3割減らす減肥設計が組みやすい。

新潟県の水稲農家では、完熟牛糞堆肥を10アールあたり1.5トン施用し、化成肥料の窒素成分を基準量の7割に減らす栽培を続けており、収量は慣行栽培と同等で、食味値は向上したという。

連用による土壌改良効果

堆肥の真価は単年ではなく5年以上の連用で表れ、土壌の団粒化が進むことで保水性・排水性・通気性が改善されるが、農研機構の長期試験では、堆肥を10年間連用した圃場は無施用圃場に比べて土壌の孔隙率が1.3倍に増加し、降雨後の湛水時間も半分に短縮された。

ただし、連用ではリン酸とカリウムの蓄積に注意が必要であり、堆肥にはリン酸とカリウムが窒素より多く含まれるため、毎年2トンずつ施用すると10年後には過剰蓄積に近づく可能性がある。土壌診断を3〜5年ごとに実施し、リン酸・カリウムの蓄積レベルを確認することが前提となる。

必要な道具と設備の選定

堆肥作りに最低限必要な道具は、温度計、スコップ、フォーク、散水ホース、ブルーシートであり、温度計は長さ50センチ以上の棒状タイプを選んで堆肥山の深部まで刺せるものが望ましいため、園芸用の短い温度計では表層しか測れず、発酵状態の判断を誤りやすい。

切り返し作業は、小規模ならスコップとフォークで対応できる。だが、堆肥量が週に500キログラムを超えるなら、小型のホイールローダーかバケット付きトラクターが必要になり、中古の小型ホイールローダーは80万〜150万円で入手でき、堆肥作業以外にも飼料運搬や除雪に使える。

散水設備は、堆肥山全体に均一に水を撒ける散水ノズル付きホースが便利であり、ジョウロでは時間がかかりすぎて現実的ではない。水源は井戸水が理想だが、水道水でも問題なく、塩素は堆肥化過程で分解されるため微生物への影響は小さい。

ブルーシートは雨よけと保温を兼ねる資材で、厚手の#3000番以上を選び、紫外線劣化に強いUV加工品を使うのが望ましい。安価な#1000番シートは半年で破れるため、結果的にはコスト高になりやすい。

機械化による省力化の判断基準

年間の堆肥生産量が20トンを超えるなら、堆肥切り返し機(コンポストターナー)の導入を検討する価値があり、自走式のターナーは新品で300万〜600万円と高額だが、中古市場では150万円前後で流通しているため、切り返し作業が1回30分で終わり、人力の5分の1以下の時間で済む点は見過ごせない。

ただし、ターナーは堆肥舎の幅と高さに制約があり、機械の仕様に合わせて堆肥舎を設計しないと使えず、機種によっては幅2.5メートル以上の堆肥列が必要になるため、既存の堆肥舎では対応できない場合がある。

現場で応用するコツと判断基準

堆肥作りの成否を分けるのは、マニュアル通りに作業項目を並べることよりも、日々の観察と微調整を積み重ねられるかどうかであり、毎朝同じ時刻に堆肥山の温度を測って前日との差を記録し、温度が3日連続で下がり続けたら発酵が停滞しているサインとして受け止める視点が欠かせない。

握り試験は週に2回、切り返しの前後で必ず行いたい。手に取った堆肥の匂いを嗅いで甘い発酵臭がしていれば順調だが、アンモニア臭が強い場合は水分過多、酸っぱい匂いがする場合は嫌気発酵に傾いていると判断できる。

切り返しのタイミングは、温度だけでなく堆肥の色でも見分けられ、発酵が進むと堆肥は茶褐色から黒褐色に変わり、最終的には黒土に近い色になるが、表層だけ黒く内部が茶色いままなら、見た目が整っていても切り返し不足を疑うべきである。

副資材の配合比率は、季節と家畜の飼料内容で変える必要があり、夏場は糞の水分率が上がるため副資材を2割増やし、冬場は乾燥しやすいため散水回数を増やす一方で、飼料に牧草を多給している時期は糞の繊維質が多くなるので、副資材を減らしても通気性が保たれる。

ベテラン畜産農家が「堆肥は生き物だから、毎日声をかけるつもりで見ろ」と言うのは、固定スケジュールに縛られず、その日の温度、水分、匂い、色の変化に応じて対応を変えよという意味であり、完熟堆肥を安定して作るには、その柔軟さこそが最後まで効いてくる。

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