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業種横断データレポート

ホルムズ海峡が止まると農業コストはいくら上がるか — 原油・肥料・食品価格の波及を5つのデータで追う

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FRED(米セントルイス連銀)e-Stat 農業物価統計調査e-Stat 消費者物価指数e-Stat 農業経営統計調査e-Stat 営農類型別経営統計財務省貿易統計

この記事のポイント

  • 肥料PPIは2025年初比 +20.3%:米国の肥料PPI(WPU0652)は2025年1月の315.8から2026-03時点の380.0へ。原油(WPU0561)と天然ガス(PNGASJPUSDM)の急変が肥料の原料コストに直接波及している。
  • 肥料+動力光熱で経営費の15.1%:2023年の個人経営体平均で、肥料費7.9%、動力光熱費7.2%。原油・天然ガスの価格変動が、構造的に農業経営費の3割弱(飼料込み)を直撃する。
  • 受取と支払のスプレッドはマイナス基調:2024年の農業物価指数で、支払(コスト)120.6に対し受取(販売価格)117.7。販売価格の追随は遅く、コスト増を生産者が吸収する構造が続く。
  • 施設園芸はもっとも影響を受けやすい:施設野菜作経営の動力光熱費比率は10.2%で、3類型中で最大。肥料+30%・燃料+30%シナリオでは年間約6.6万円のコスト増(試算)。稲作の約4.1倍。

中東危機は遠い地政学の話ではない。ホルムズ海峡を通る原油・天然ガスが止まれば、肥料の原料となるアンモニアの生産コストが押し上げられ、半年から1年のラグで日本の農家の仕入れ価格を押し上げ、その先に食卓の価格が控える。本レポートは米国FREDの月次価格データ、e-Statの農業物価統計・消費者物価指数・農業経営統計、財務省貿易統計を横断的に重ね、10チャートで波及経路の各段階を分解する。

1. 何が起きているか — 原油と肥料の急変

直近の動きを長期トレンドのなかに置いて見る。原油・天然ガス・肥料の3系列を、2016年1月を100とする指数に揃えて並べると、それぞれの価格変動とその位相が一目で分かる。

原油・肥料・LNGの長期価格推移(2016年1月=100、米国基準)

2016-01〜2026-03FRED(WPU0561 原油PPI / WPU0652 肥料PPI / PNGASJPUSDM アジアLNGスポット)
原油PPI(米WPU0561)肥料PPI(米WPU0652)アジアLNG(PNGASJPUSDM)

3系列はそれぞれ単位が異なるため、2016-01=100に正規化して同一スケールで比較している。月次。

2022年のウクライナ危機で肥料は原油に2〜3ヶ月遅れて急騰し、3年がかりで一部正常化。2026年初の中東ショックで再び上方転換した

10年スケールで見ると、肥料価格は原油・天然ガスの2〜3ヶ月遅れで動く構造がはっきり浮かび上がる。最初の山は2022年のロシア-ウクライナ侵攻局面で、米国の肥料PPIは2022年4月にピークを打ち、その後3年弱かけて緩やかに下降。2025年に入って小康状態を保っていたが、2026年初から再び上昇に転じた。背景は中東情勢の緊張で、ホルムズ海峡経由の原油・LNG輸送が制約された結果、世界市場でエネルギー価格が一段高となり、肥料原料に再び波及している。次に近距離のレンジで、現在の動きを拡大して見る。

直近18ヶ月の価格推移ズーム(2025年1月=100)

2025-01〜2026-03FRED(WPU0561 / WPU0652 / PNGASJPUSDM)
原油PPI肥料PPILNG

2025年1月の値を基準(=100)として、各系列の現時点までの累積変化率を示す。

2026年3月時点で肥料PPIは120.3、原油は100.9、LNGは147.3。LNGが先行し、肥料が肥料原料コスト経由で追随している

ホルムズ海峡封鎖の影響が顕在化した2026年2月以降、LNGスポット価格はわずか2ヶ月で倍近い水準に達した。原油PPIも2月→3月で1段ジャンプし、肥料PPIは原油・LNGに引っ張られる形で着実に上方シフトしている。ここで重要なのは「中東危機は原油だけの問題ではない」という事実だ。化学肥料の窒素肥料(尿素・りん安)の主原料はアンモニアで、アンモニアは天然ガスを原料に合成される。世界の天然ガス市場が逼迫すれば、アンモニア合成のコストが上がり、肥料の生産コストが上がる——この経路は地理的にどの国であっても等しく効く。

2. なぜ農業に効くのか — エネルギー・肥料への依存構造

原油と天然ガスの急変が農業コストに効くかどうかは、農業経営の費用構造で決まる。日本の個人経営体の最新データ(2023年)で経営費の中身を見ると、エネルギーと肥料がどれだけの位置を占めるかが具体的な数字で見えてくる。

農業経営費の構成比(2023年・個人経営体全国平均)

2023年農林水産省「農業経営統計調査」(個人経営体・全国平均)

肥料と動力光熱費だけで経営費の15.1%。飼料を含めれば26.5%が燃料・原料エネルギー由来

個人経営体の経営費約6,953千円のうち、肥料費が7.9%、動力光熱費が7.2%。両方を合計して15.1%が、原油・天然ガス価格の動きに直接連動するコスト項目だ。さらに飼料は穀物相場とエネルギー輸送コストの影響を強く受けるため、これも含めると26.5%が広義のエネルギー連動コストとなる。残りの「その他」(雇人費・地代・減価償却ほか)は短期の価格ショックに対しては比較的硬直的なため、ショック期に圧迫されるのはほぼエネルギー連動コストとなる。

農業物価指数(支払)4項目の年平均推移(1970-2024)

1970–2024e-Stat 農業物価統計調査(令和2年=100)
無機質肥料光熱動力飼料農業薬剤

月次データを年平均化。基準年は2020年(=100)。

無機質肥料は2023年に147.6でピーク。1973年・1979年・2008年・2022年の4回のオイルショック期で同様の急騰パターンが繰り返されてきた

日本の農業物価指数で1970年から2024年までを並べると、無機質肥料の山は1973-74年(第1次オイルショック)、1979-80年(第2次)、2008年(リーマン期の資源価格高騰)、2022-23年(ウクライナ危機)の4回ではっきり立ち上がる。光熱動力は同じ局面で同期して上振れ、飼料はやや遅れて反応する。今回(2025-26年の中東ショック)が5回目に位置する。日本の月次データはまだ2024年12月までしか公表されていないため、本ページの数字には2025年以降のショック反映分は含まれていない。次節の過去比較で具体的な変化率を並べる。

肥料輸入元の国別シェア(2025年・金額ベース)

2025年財務省貿易統計(HS 3102/3103/3104/3105 各品別国別表)
マレーシア中国カナダ韓国ノルウェー米国その他

各品目内のシェア(合計100%)を積み上げ表示。上位国以外は「その他」に集約。

尿素はマレーシア58%、塩化加里はカナダ87%、りん安は中国95.3%。中東からの直接輸入は限定的だが、天然ガス価格経由で世界の肥料価格が連動する

日本の肥料輸入元は品目で大きく顔ぶれが違う。窒素肥料の代表である尿素はマレーシア(58%)と中国が中心、りん安は中国がほぼ独占、塩化加里はカナダが圧倒的、混合肥料は中国・韓国・ノルウェーが上位を占める。中東諸国からの直接輸入は数%程度にとどまり、量的な代替もしやすい構造に見える。だが、ここに落とし穴がある。マレーシアや中国の肥料生産も、原料の天然ガスを世界市場価格で調達している以上、ホルムズ海峡経由のLNGが止まれば、結局それらの国からの輸入価格にも波及する。「中東依存ではない」という事実は「中東リスクから無関係」を意味しない。価格は世界市場で連動する。

3. コスト増はいくらか — 過去比較と類型別試算

依存構造が分かれば、次の問いは「実際のコスト増はどれくらいか」だ。同じ「危機」と呼ばれていても、規模はショックごとに違う。米国FREDの月次データから、過去5回のショック期について「ショック前12ヶ月平均」と「ショック後のピーク値」を並べる。

過去5回のショック期 価格変化率の比較

ショック前12ヶ月平均→ピーク値FRED(WPU0561, WPU0652)/e-Stat 農業物価統計調査(自社算出)
原油PPI(米・前12ヶ月平均→ピーク)肥料PPI(米・同上)農業物価指数_肥料(日・前年→ピーク年)

米国側はFREDの月次データ、日本側は無機質肥料(農業物価指数)の年平均から算出。※2025-26年の日本側データは未公表のため米国PPIのみ表示。

過去最大は1973-74年の肥料PPI +147.4%。ウクライナ危機(2022-23年)の +53.6% に対し、今回は 2026-03 時点で +8% と初期段階。円安150円台が重なる点で過去のいずれとも条件が違う

第1次オイルショック(1973-74年)の規模が突出して大きく、米国の肥料PPIで147.4%増。同じ時期の日本側(農業物価指数の無機質肥料、年平均)は1972年→1974年で約55%増。リーマン期前後の2007-08年は米国側でも137.1%、ウクライナ危機の2022-23年は53.6%だった。今回(2025-26年)は2026-03時点で8%とまだ初期段階だが、過去の経験則では「米国PPIのピークから日本の小売仕入れに反映するまで6〜12ヶ月のラグ」がある。米国側の数字が止まらなければ、日本側の数字は2026年後半から本格的に動き出す。為替条件は1973年=300円、2008年=100円、2022年=130円台、今回=150円台と、円ベースで見た場合の負担はさらに大きくなる。

営農類型別 肥料費・動力光熱費の経営費比率

稲作=2021年 / 露地・施設野菜=2020年e-Stat 営農類型別経営統計(個人経営体)
肥料費比率(%)動力光熱費比率(%)

施設野菜の動力光熱費比率は10.2%で、稲作の約1.6倍。原油高騰の影響を最も強く受ける類型

同じ「農業」と一括りにしても、エネルギー依存度は類型で大きく違う。施設野菜作経営の動力光熱費比率10.2%は、稲作の6.5%、露地野菜の4.9%と比べて2〜3倍にあたる。施設園芸はビニールハウスや温室の暖房・換気・補光に大量のエネルギーを使うため、原油高騰局面では真っ先に経営費が膨らむ構造だ。一方、肥料費比率は稲作(9.1%)や露地野菜のほうが施設野菜(6.3%)より高い傾向にある。同じショックでも、経営類型ごとに「効きどころ」がずれる。

営農類型別 コスト増シナリオ試算(年間・万円換算)

2020-21年データに基づく試算営農類型別経営統計(自社算出)
経営類型肥料費
(万円/年)
動力光熱費
(万円/年)
肥料 +30%
増加額(万円)
肥料 +50%
増加額(万円)
肥料 +30% かつ 燃料 +30%
増加額(万円)
稲作経営3.12.3+0.9(2.7%)+1.6(4.5%)+1.6(4.7%)
露地野菜作経営7.14.2+2.1(2.5%)+3.5(4.1%)+3.4(3.9%)
施設野菜作経営8.413.6+2.5(1.9%)+4.2(3.1%)+6.6(5.0%)

※試算の前提:1経営体当たりの肥料費・動力光熱費(営農類型別経営統計の最新値)に対して、価格上昇率を均等に適用した単純試算。実際のコスト増は調達契約・地域・燃料種別・固定費比率により異なる。括弧内の%は経営費全体に対する増加率。

施設野菜は肥料+30%・燃料+30%シナリオで年間+6.6万円。これは稲作(+1.6万円)の約4.1倍

試算は単純なものだが、影響の大きさのオーダーは見て取れる。施設野菜は肥料+30%・燃料+30%という保守的なシナリオでも年間+6.6万円のコスト増。経営費全体(133万円規模)に対して見ると、それでも数%の負担増にすぎないが、農業所得(粗収益から経営費を差し引いた残り)に対する圧迫はずっと大きい。経営所得が経営費の1割前後の類型では、コスト増はそのまま所得を押し下げる。前提条件は試算であり、実際の経営影響は調達契約・地域・燃料種別・固定費比率で大きく変動する点に注意が必要だが、「同じ%の価格ショックでも、類型ごとに痛みの絶対値が違う」という構造は確かに数字で示せる。

4. 食卓にどこまで転嫁されるか

農家のコストが上がっても、それがそのまま消費者価格に転嫁されるとは限らない。農業物価指数の「支払」(生産資材=農家のコスト)と「受取」(販売価格)を並べると、長期にわたる構造が見えてくる。

支払価格指数 vs 受取価格指数(年平均)

2000–2024e-Stat 農業物価統計調査
支払(生産資材総合)受取(農産物総合)

基準年は2020年(=100)。月次値を年平均化。

2024年の支払120.6 vs 受取117.7でスプレッド-2.9。支払が受取を上回る期間は2010年代以降の常態化した姿

受取と支払の差を時系列で見ると、長期的に支払が受取を上回る期間が常態化している。2008年のリーマン期前後、2022年のウクライナ危機後の3年間がその典型で、コスト(支払)の急上昇に対して販売価格(受取)の追随は鈍い。生産者がコスト増を吸収する側に回り、農業所得が圧迫される構造だ。今回の中東ショックでも、過去パターンが繰り返されれば、コスト増→農家の利益圧縮→規模拡大できない経営の離農加速、という流れが想定される。同じことが #3「円安と食卓」レポートでも、輸入飼料・肥料の円換算コスト増として描かれている。中東危機(エネルギー)と円安(為替)はコスト増を二重に押し上げる組み合わせとして効く。

食料CPI vs 総合CPI(年平均)

2000–2025e-Stat 消費者物価指数(2020年基準)
食料総合

基準年は2020年(=100)。年計値。2026年は年計未確定のため2025年まで表示。

2020年→2025年で食料CPIは+25.8%、総合CPIは+11.9%。食料が総合を一貫して上回る乖離が続いている

消費者物価指数で見ると、2020年を基準年として食料CPIは2025年に125.8まで上昇(+25.8%)、総合CPIの+11.9%を一貫して上回って推移している。過去のショックパターンを当てはめると、原油・肥料の急騰から食卓価格に反映されるまでには6〜12ヶ月のラグがある。2026年初の中東ショックで再び肥料・燃料コストが押し上げられたとすれば、消費者が「値上げの第2波」を体感するのは2026年後半から2027年前半とみるのが過去経験則だ。前出の支払vs受取スプレッドのとおり、生産者が一度はコスト増を吸収しようと試みるため、食卓への転嫁は緩衝されるが、緩衝しきれない部分が時間差で押し寄せる。

5. エネルギー前提の経営が抱えるリスク

過去のオイルショックは政策対応のきっかけにもなってきた。1973年は減反政策の強化、2008年は肥料高騰対策事業、2022年のウクライナ危機局面では肥料価格高騰対策事業(化学肥料コスト上昇分の一部補填)が実施された。歴史を振り返ると、対症的な所得補償は何度か繰り返されているが、「中東リスクが直接経営リスクになる構造そのもの」を変える方向の手は限定的だった。化学肥料の依存度を堆肥・緑肥・土壌診断で下げる方向、暖房に代わる熱源(地熱・木質バイオマス)の活用、施設園芸の断熱性能向上といった構造的な対応が議論される一方、コストと労力で実装が進みにくい。

本レポートが浮かび上がらせるのは、「中東危機 → 原油 → 天然ガス → 肥料 → 農業コスト → 食品価格」という連鎖の各ステップに、それぞれ独立した時間ラグと吸収のメカニズムが存在する、という事実だ。ショックは6〜12ヶ月のラグで日本に到達し、生産者が一定期間吸収し、その後消費者に時間差で届く。エネルギー価格の急変はもはや「想定外」ではなく、長期トレンドのなかで4〜5回繰り返されてきた構造的なリスクだ。次の中東ショックが来るまでに、自分の経営類型にとって何が一番効くのか——肥料か、燃料か、飼料か、どの段階のラグで効くのか——を解像度高く把握しておくことが、量的な備えの出発点になる。

よくある質問

Q. ホルムズ海峡封鎖はいつから始まりましたか?

本レポートが対象とする現行ショックの起点は2026年2月末。中東地域での軍事的緊張の高まりに伴いホルムズ海峡周辺の航行が一時停止し、アジア向け天然ガス(LNG)と原油の輸送に影響が及んだ局面を指している。FRED系列で見ると、原油PPI(WPU0561)は2026年1月の166.7から2月177.8、3月213.7へと2ヶ月で約28%の上昇幅。アジアLNG価格(PNGASJPUSDM)は同じ2ヶ月で10.4ドル/MMBTU→20.8ドルとほぼ倍化した。本ページの数字は2026年3月時点の公表値であり、状況は今後の地政学情勢と各国の対応で変動する。最新値は出典先(FRED・e-Stat等)でご確認いただきたい。

Q. 日本の肥料はどこから輸入していますか?

2025年の財務省貿易統計(金額ベース)で見ると、品目ごとに調達国は大きく異なる。尿素はマレーシアが58%で最大、次いで中国23.3%。りん安は中国が95.3%で圧倒的。塩化加里はカナダが87%で大半を占める。混合肥料は中国・韓国・ノルウェーが上位。中東諸国からの直接輸入は限定的だが、日本が中東依存ではないという事実は「中東リスク無関係」を意味しない。肥料の原料である天然ガス(アンモニア合成の主原料)は世界市場で価格が連動するため、ホルムズ海峡経由のLNGが止まれば、マレーシアや中国の肥料輸出価格にも波及する。

Q. 過去のオイルショックと今回は何が違いますか?

為替条件が決定的に違う。1973年の第1次オイルショックは1ドル=約300円、1979年の第2次は約240円、2008年は1ドル=100〜105円、2022年のウクライナ危機は130円台で進行した。今回(2026年3月時点)は150円台での進行となり、円ベースのコスト増は同じドル建ての価格上昇でもより大きく効く。米国の肥料PPIで見たショック前12ヶ月平均からのピーク変化率は、1973-74年で147.4%、2007-08年で137.1%、2022-23年で53.6%。今回(2026年3月時点)は8%とまだ初期段階だが、同じ%上昇でも円安の追い風(向かい風)により、日本の農家が直面する仕入れコスト増は数字以上に重い。

Q. 農家への支援制度はありますか?

2022年のウクライナ危機局面では、農林水産省が「肥料価格高騰対策事業」を実施した。化学肥料低減への取組を実施する農業者に対し、肥料コスト上昇分の一定割合(事業実施年は7割)を補填する仕組みで、2022〜2023年度で交付実績がある。2026年5月時点で同様の対策が継続実施されているか・新規措置が検討されているかは情勢に応じた行政判断によるため、最新情報は農林水産省「肥料関連情報」ページで確認することを推奨する。中長期的な対応として、堆肥・緑肥の活用による化学肥料依存度の低減、土壌診断による施肥効率化、産地形成交付金など複数のメニューが整備されている。本レポートでは具体的な金額・申請条件は推奨せず、概要のみ記載している。

Q. 食品価格はいつ頃から上がりますか?

過去のショックパターンを CPI で振り返ると、原油・肥料の急騰から食料CPIに反映されるまで6〜12ヶ月のラグがある。1973年の第1次オイルショック後は1974年に食料CPIが急上昇、2007-08年のショックは2008年後半から2009年にかけて反映、2022年のウクライナ危機は2022年後半から2023年にかけて食料CPIを押し上げた。食料CPIは2020年=100の基準年から2025年で125.8まで上昇している(25.8%増)。今回の中東ショックが本格的にコスト転嫁されるのは2026年後半〜2027年前半とみるのが過去パターン。ただし、農業物価指数の支払(コスト)と受取(販売価格)のスプレッドが示すように、生産者がコスト増を吸収する構造により、食卓に到達する価格上昇は緩衝されることが多い。

出典

  • FRED(Federal Reserve Economic Data, セントルイス連銀)fred.stlouisfed.org(WPU0561 原油PPI / WPU0652 肥料原料PPI / WPU0651 混合肥料PPI / PNGASJPUSDM アジアLNGスポット)
  • e-Stat 農業物価統計調査(令和2年基準・自社算出での年平均化)e-Stat(payment table_id: 0004047497, receipt table_id: 0004047469)
  • e-Stat 消費者物価指数(2020年基準・全国・年計と月次) table_id: 0003427113
  • e-Stat 農業経営統計調査(個人経営体・全国平均、2019-2023) stats_code: 00500201
  • e-Stat 営農類型別経営統計(稲作 2021年 / 露地・施設野菜 2020年)
  • 財務省貿易統計(HS 3102/3103/3104/3105 各品別国別表 輸入金額)customs.go.jp

本レポートは情報提供を目的としており、特定の行動・投資・経営判断を推奨するものではありません。記載の数値は公的統計の当該公表時点の値であり、速報値が後日改定される場合があります。米国FREDの月次データは公表時点で改定される場合があり、e-Statの農業物価統計調査は本レポート作成時点で2024年12月までしか反映されていないため、2025年以降の中東ショックによる日本側の数字は本ページのチャートに含まれていません。営農類型別のコスト増試算は単純試算であり、実際のコスト増は調達契約・地域・燃料種別・固定費比率により大きく異なります。最新情報は各出典先の公式サイトでご確認ください。

※本レポートはAIを活用して作成し、編集部が内容を確認・監修しています。詳しくは編集方針をご覧ください。

sanchi.jp編集部

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一次産業メディア 業種横断レポート担当

農林水産業のデータと現場をつなぐメディア「sanchi.jp」編集部。公的統計・一次情報に基づき、構造的な視点で一次産業の論点を整理しています。

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このデータを引用する場合
出典: sanchi.jp「中東危機と農業コスト データレポート」 https://sanchi.jp/data/reports/energy-cost/

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