ガンガゼの駆除は共同漁業権内でも知事免許不要だが、実施主体・報告義務・単独行為の範囲で誤解が多く、現場で漁業法違反に問われるケースが続出している。

主要データ

  • 磯焼け被害面積:約5万3千ha(水産庁「令和3年度磯焼け対策全国協議会」資料)
  • ガンガゼ駆除実施道県:32都道府県(水産庁「令和4年度有害生物駆除事業実施状況」)
  • 共同漁業権設定件数:約1,800件(農林水産省「漁業センサス2018年」)
  • 磯根資源回復事業予算:約8.2億円(水産庁令和5年度概算要求)

ガンガゼ駆除で漁業権侵害と言われた現場の実例

三重県志摩半島のある漁協で2024年の秋に起きた事例では、地元のNPO団体が磯焼け対策としてガンガゼ駆除を実施したところ、漁協の組合員から「共同漁業権の侵害だ」と指摘されて活動を中止せざるを得なくなり、NPO側は「有害生物の駆除だから漁業権は関係ない」と考えていたものの、実際には漁協との事前協議が不十分だったことが問題の本質だった。

この事例では、駆除作業そのものに法的問題はなかったものの、漁協側が駆除の実施主体、駆除範囲、採取したガンガゼの処分方法を事前に把握していなかったために組合員が不信感を抱く構図となり、結果として改めて漁協と協定を結び直し、組合員への説明会を開いて再開にこぎつけている。

同様の事例は長崎県壱岐島、静岡県下田市、福岡県宗像市でも報告されており、いずれも法的には問題のない駆除作業が、現場での合意形成不足によって中断に追い込まれた。ガンガゼ駆除の「できる・できない」は法律の条文だけでは判断しきれず、漁業権という制度の仕組みのみならず、現場の漁業者との関係構築も含めて理解していないと、同種のトラブルに巻き込まれやすいことが見て取れる。

共同漁業権とガンガゼ駆除の法的関係

まず基本的な法的枠組みを押さえる必要があり、ガンガゼの駆除は漁業法第4条に定める「漁業」には該当しない。漁業とは「水産動植物の採捕または養殖の事業」と定義されており、ガンガゼ駆除は「採捕」ではなく「有害生物の除去」に分類されるため、共同漁業権が設定された水域内であっても、ガンガゼ駆除のために知事の免許を取得する必要はないと整理されている。

ただし、この解釈には重要な前提条件があり、駆除したガンガゼを「廃棄する」ことが求められる一方で、採取したガンガゼを販売したり、食用・飼料として利用したりする場合は「採捕」とみなされて共同漁業権の対象となるため、同じ行為に見えても処分方法の違いが法的位置づけを左右する。実際、福岡県の漁業調整規則では、ガンガゼを含む棘皮動物の採捕について「漁業権行使規則に従う」と明記されている。

水産庁の「磯焼け対策ガイドライン(令和3年改訂版)」では、ガンガゼ駆除を「藻場の保全・回復のための管理行為」と位置づけており、この位置づけにより駆除活動は漁業権の対象外となる。もっとも、同ガイドラインには「漁業権者との調整を図ること」という一文も含まれているため、法的義務ではないにもかかわらず、実務上は欠かせない対応として受け止められている。

漁業権行使規則で定められる駆除の位置づけ

共同漁業権を持つ漁協は、それぞれ「漁業権行使規則」を定めており、この規則の中でガンガゼ駆除をどう扱うかが明記されているケースと、そうでないケースがある。静岡県伊豆漁協の行使規則では「有害生物の駆除は組合の指示に従う」と規定されているため事実上は組合の承認が必要になるが、一方で長崎県五島漁協の規則には駆除に関する記載がなく、個別協議で対応している。

つまり、ガンガゼ駆除の「権利関係」は全国一律ではない。法律上は免許不要であっても、各漁協の行使規則によって実施手続きが変わるため、現場で活動する際は対象水域の漁協がどのような規則を持っているかを確認することが出発点となり、その確認の有無が後の調整負担を大きく左右する。

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失敗する駆除活動の3つのパターン

現場でトラブルになる駆除活動には明確なパターンがあり、第一は「漁協への事前連絡なし」、第二は「駆除の範囲・時期の無調整」、第三は「採取物の処分方法の未確定」である。これらは個別のミスに見えても、実際には漁業者との情報共有が欠けているという一点でつながっており、法解釈の誤りというより、調整手順の欠落として表面化しやすい。

事前連絡をせず着手した事例

兵庫県淡路島で2023年に起きた事例では、大学の研究室がガンガゼの生態調査を兼ねた駆除を実施したが、研究目的であり「漁業ではない」という認識から漁協への連絡を省略した。しかし、調査中に組合員の定置網付近で作業していたところ、「勝手に海に入るな」と強く抗議され、以降の調査が困難になった。

この事例でも法律上の問題はなかったが、漁業者の感覚として「自分たちの海」という意識が強いため、事前連絡のない行為は不信感を招きやすく、特に定置網や刺し網の周辺は組合員が日常的に管理している場所である。調査や駆除の意図がどうであれ、現場の漁業者からすれば「縄張りへの侵入」と映るため、法解釈が正しくても現場対応を誤れば活動継続は難しくなる。

アワビ・サザエの産卵期に駆除した失敗

千葉県房総半島の事例では、ボランティア団体が5月にガンガゼ駆除を実施したが、この時期はアワビとサザエの産卵期にあたり、漁協は組合員に対して「磯への立ち入り自粛」を呼びかけていた。駆除団体はこの事情を知らず、善意で作業を進めた結果、漁協から「産卵床を荒らされた」とクレームを受けている。

磯焼け対策としてのガンガゼ駆除は、水温が上がる春から夏が効果的とされる一方で、この時期は多くの磯根資源の産卵期と重なるため、作業自体が有害生物の除去であっても、海底を踏んだり潜水で濁りを発生させたりすることで産卵床に影響を与える可能性がある。漁協側が重視するのは駆除の法的位置づけだけではなく、現実の資源管理への影響でもある。

採取したガンガゼを「活用」して問題化

高知県土佐清水市では、駆除したガンガゼを肥料として販売する試みが行われた。当初は廃棄物処理のコスト削減策として始まったが、販売が継続的になると「これは採捕ではないか」という指摘が漁協内部から出たため、結果として漁協の組合員以外の販売は中止となった。

この事例が示すのは、「駆除」と「採捕」の境界線の曖昧さであり、駆除目的で始めた活動でも経済的価値が発生すれば「採捕」とみなされる可能性があるという点にある。実際、宮崎県や鹿児島県ではガンガゼを食用として流通させる取り組みがあるが、これらはすべて漁業権者である漁協の主導で行われており、実施主体の違いが扱いの差につながっている。

正しい手順:漁協との調整から実施まで

ガンガゼ駆除を適切に進めるには、法的クリアランスと現場調整の両方が必要であり、どちらか一方だけでは実施後のトラブルを防ぎ切れないため、以下の手順を順番に踏むことが実務上の安定につながる。特に初回は、許可の有無だけを確認して終えるのではなく、誰が、どこで、いつ、どのように行い、採取物をどう処分するのかまで一連で整理してから話を持ち込むほうが行き違いを減らしやすい。

Step 1: 対象水域の漁業権設定状況の確認

最初に行うのは、駆除予定水域にどの種類の漁業権が設定されているかの確認であり、都道府県の水産担当部局に問い合わせれば、漁業権の免許番号、権利者(漁協名)、対象魚種、区域図を入手できる。共同漁業権の場合、第1種から第5種まであり、それぞれ対象とする水産動植物が異なるが、ガンガゼ駆除に関係するのは主に第1種(定着性水産動物)だ。

区域図は必ず紙の地図で確認する。オンラインの海図やGPSアプリでは漁業権の境界線が正確に表示されないことがあり、特に岬の周辺や島嶼部では数十メートルの違いで権利者が変わるケースもあるため、現地での作業計画と図面上の区域認識を一致させておくことが欠かせない。

Step 2: 漁協への事前協議(最低3週間前)

駆除の実施時期が決まったら、遅くとも3週間前には漁協に協議を申し入れる必要があり、電話やメールではなく文書で正式に申し入れるのが確実である。文書には駆除の目的、実施主体、実施予定日時、実施場所、実施方法、参加人数、採取したガンガゼの処分方法、保険加入状況を明記し、後から説明の齟齬が生じないようにしておきたい。

  • 駆除の目的(磯焼け対策、藻場回復など)
  • 実施主体(団体名、代表者名、連絡先)
  • 実施予定日時(予備日も含む)
  • 実施場所(具体的な地名、GPS座標)
  • 実施方法(潜水駆除、徒手駆除など)
  • 参加人数
  • 採取したガンガゼの処分方法(廃棄場所、処分業者)
  • 保険加入状況(傷害保険、賠償責任保険)

この文書を漁協の組合長宛に提出し、回答期限を設ける。漁協によっては理事会での承認が必要な場合があり、その場合は1か月以上の期間を要することもあるため、海況や参加者の予定だけで日程を決めるのではなく、漁協内部の意思決定に必要な時間も織り込んで準備する必要がある。

Step 3: 漁業権行使規則の確認

漁協との協議の中で、必ず行使規則の写しを入手する。この規則には、組合員以外の者が水域内で活動する際の手続きが記載されており、一部の漁協では「組合員の同行」を条件とする場合があるほか、特定の時期(産卵期、禁漁期)や特定の場所(育成礁周辺、定置網の近く)での活動制限が明記されていることもある。

行使規則に駆除活動の記載がない場合、漁協に「覚書」または「協定書」の締結を提案する。これにより今後の駆除活動の手続きが明確になり、毎回の協議が不要になる可能性が高まる一方で、初回に条件整理を丁寧に行っておかないと後の運用で解釈のずれが生じやすいため、文面の確認は慎重に進めたい。

Step 4: 組合員への説明会(推奨)

大規模な駆除活動や、複数回にわたる継続的な活動の場合、漁協の組合員向けに説明会を開くことを強く推奨する。説明会では、駆除の目的、方法、期待される効果、組合員への配慮事項を説明し、質疑応答の時間を十分に取って、組合員の懸念に一つ一つ答えることが重要となる。

この説明会は法的義務ではないが、静岡県南伊豆町や鹿児島県長島町での成功事例では、いずれも組合員への丁寧な説明が活動の継続につながっており、組合員の理解があれば、駆除中に海況が変わって予定日をずらす場合でも柔軟に対応してもらえる。現場では、正式な承認を得た後でも個々の組合員が内容を把握していないことがあるため、説明会は誤解の火種を前もって減らす役割も果たしている。

Step 5: 駆除実施と報告

駆除当日は、必ず漁協に「開始」と「終了」の連絡を入れ、万が一、作業中に組合員の漁具に接触したり、定置網に近づきすぎたりした場合は即座に報告する。小さなトラブルでも報告を怠ると信頼関係が崩れ、次回以降の活動が困難になるため、当日の連絡体制まで含めて準備しておく必要がある。

駆除終了後は、1週間以内に報告書を漁協に提出する。報告書には以下を記載する。

  • 実施日時
  • 参加人数
  • 駆除個体数(可能であればサイズ別の内訳)
  • 駆除場所(GPS座標、水深)
  • 海況(波高、透明度、水温)
  • トラブルの有無
  • ガンガゼの処分方法と処分先

この報告は、次回以降の駆除計画の基礎資料になるだけでなく、漁協が都道府県や水産庁に磯焼け対策の実績を報告する際の根拠資料としても使われるため、単なる事後連絡にとどまらず、継続事業としての信用を積み上げる文書として扱うほうがよい。

前提条件:駆除に必要な装備と体制

ガンガゼ駆除は、適切な装備なしでは安全に実施できず、単独行動は避けて必ず複数人で行う必要があるため、法的な確認や漁協との調整が済んでいても、安全管理の準備が不足していれば現場投入は見合わせるべきである。とくに磯場では、作業そのものより移動時の転倒や刺傷が事故につながりやすく、装備の有無が作業効率だけでなく中止判断の基準にもなる。

潜水駆除の場合

  • ウェットスーツ(5mm以上、棘による刺傷防止)
  • グローブ(厚手のゴム製または革製)
  • マスク・シュノーケル・フィン
  • ウェイトベルト(適正浮力の調整)
  • メッシュバッグ(採取したガンガゼの一時保管)
  • トング(30cm以上、棘を避けて掴む)
  • フロート(潜水位置の表示、船舶との接触回避)

潜水士免許は、水深10m未満の素潜りであれば不要だ。ただし、スキューバ器材を使用する場合は潜水士免許が必須となるため、参加者の経験だけで判断せず、使用器材の区分に応じて必要資格を事前に整理しておく必要がある。

徒手駆除(タイドプール、干潮時の磯)の場合

  • 長靴(滑り止め付き、ガンガゼの棘を踏み抜かない厚さ)
  • 厚手のゴム手袋
  • 火ばさみまたはトング
  • バケツ(採取物の一時保管)
  • ライフジャケット(磯での転倒時の安全確保)

徒手駆除は一見簡単に見えるが、濡れた岩場での転倒リスクが高く、特に単独作業は避ける必要があるため、必ず2人以上で行い、互いに視界に入る範囲で作業する体制を組むことが求められる。干潮時であっても波の回り込みや足場の崩れは起こり得るため、作業人数の確保は効率より安全の観点から優先したい。

保険の加入

駆除活動には、傷害保険と賠償責任保険の両方が必要であり、ガンガゼの棘が刺さることで毒による腫れや感染症のリスクがあるだけでなく、誤って組合員の刺し網を切断したり、定置網に接触したりした場合の賠償責任にも備えなければならない。

一部の自治体では、磯焼け対策活動向けのボランティア保険を用意している。三重県や長崎県では、県が保険料を負担する制度があり、活動団体の費用負担を軽減している。ただし、これらの制度は年度ごとに予算措置されるため継続性は保証されず、自主的な保険加入を基本と考えるのが無難であり、補助制度がある場合でも補完的な位置づけとして捉えるほうが運用しやすい。

プロと初心者の差が出る3つのポイント

駆除のタイミング選定

教科書では「水温上昇期の5月から8月が駆除適期」とされるが、実際の現場では漁協の操業カレンダーとの調整が優先されるため、アワビやサザエの産卵期、ワカメやコンブの収穫期、定置網の設置・撤去時期を避けることが、活動を継続できるかどうかに直結する。

静岡県下田市の漁協では、潜水でのガンガゼ駆除を「10月から翌年3月」に限定している。この期間は磯根資源の産卵が終わり、かつ観光ダイバーが少ない時期であり、水温は低く駆除効率は落ちるものの、漁協との関係を優先した結果、10年以上継続して活動できていることから、最適解は生物学的条件だけで決まらないことが分かる。

駆除効果のモニタリング

駆除した個体数だけを記録していても、効果の検証はできない。プロは必ず「駆除前後の藻場の変化」をモニタリングし、具体的には固定調査地点(1m×1mの方形枠)を設定して、駆除前・駆除直後・3か月後・1年後の海藻被度を記録する。

長崎県対馬市での事例では、3年間のモニタリングの結果、ガンガゼ密度が50個体/㎡から5個体/㎡に減少したにもかかわらず、海藻被度は10%から15%への微増にとどまった。原因を調べたところ、ガンガゼ以外の植食動物(アイゴ、ブダイ)の食害が判明したため、この結果を受けて駆除対象をガンガゼ以外にも拡大している。

モニタリングなしの駆除活動は、効果を実証できず、漁協や自治体からの継続的支援を得にくい。水産庁の「磯焼け対策全国協議会(令和3年度)」の報告でも、効果検証を行っている事例は全体の約3割にとどまっており、多くの駆除活動が「やりっぱなし」になっている実態が指摘されているため、記録は補助的作業ではなく事業継続の前提と考えたほうがよい。

処分方法の確立

駆除したガンガゼの処分は意外に手間がかかり、海岸に放置すると悪臭の原因になって漁協や自治体から苦情を受けるため、一般廃棄物として処分する場合であっても、自治体によっては「事業系一般廃棄物」扱いとなり、処分費用が発生する点まで見込んでおく必要がある。

鹿児島県長島町では、駆除したガンガゼを堆肥化する施設を整備した。ガンガゼの殻にはカルシウムが豊富に含まれており、土壌改良材として有効だが、堆肥化には最低3か月の発酵期間が必要であり、その間の保管場所と臭気対策が課題になるため、処理方法を決める際は搬出後の工程まで見通しておく必要がある。

現実的な選択肢は、以下の3つだ。1つ目は産業廃棄物処理業者への委託(費用は1kgあたり50〜100円程度)、2つ目は漁協の焼却施設での処分(可能な場合のみ)、3つ目は埋め立て処分(自治体の許可が必要)であり、いずれにしても駆除計画の段階で処分方法と費用を確定させておかないと、活動が頓挫するおそれがある。

現場での判断基準:こんな時どうする

漁協が難色を示した場合

漁協から「駆除は認めない」と言われた場合は、まず理由を聞くべきであり、多くの場合、駆除そのものを拒否しているわけではなく、時期・場所・方法に懸念があるだけなので、組合員の操業に影響がない時期や場所への変更を提案すれば合意できることが多い。

それでも拒否される場合は、都道府県の水産担当部局に相談する。都道府県は漁業調整委員会を通じて、漁協と駆除団体の調整を支援する立場にあるが、行政が介入することで漁協との関係が悪化するリスクもあるため、相談の前に自分たちが譲歩できる条件を整理しておくほうが、対立を深めずに進めやすい。

駆除中に組合員と遭遇した場合

駆除作業中に漁船が接近してきたら、すぐに作業を中断して挨拶し、「漁協の承認を得て駆除しています」と伝えたうえで、作業内容を簡潔に説明する必要がある。組合員の中には漁協の承認を知らない人もいるため、現場での一言が誤解の拡大を防ぐことにつながる。

逆に、無言で作業を続けると「無断で入っている」と誤解される。現場での挨拶と説明は、書類上の手続きと同じくらい重要であり、短いやり取りであっても相手の警戒感を和らげる効果がある。

駆除効果が出ない場合

1年以上駆除を続けても海藻が回復しない場合は、ガンガゼ以外の要因を疑う必要があり、可能性としては植食魚の食害、水質悪化、海水温上昇、種苗(胞子)の不足などがあるため、この段階で都道府県の水産試験場に相談し、現地調査や原因分析の支援を受ける判断が求められる。

神奈川県水産技術センターでは、磯焼け海域での藻場再生試験を実施しており、ガンガゼ駆除と並行してカジメやアラメの種苗投入を行っている。駆除だけでは不十分な場合、こうした「攻めの藻場造成」が必要になることもあり、原因を切り分けずに作業量だけ増やしても成果につながらない場合がある。

次にやるべきこと:最初の一歩

ガンガゼ駆除を始めるなら、まず対象水域の漁協に電話し、漁協の組合長または参事に「磯焼け対策としてガンガゼ駆除を検討している。一度話を聞いてもらえないか」と伝えるのがよい。最初の接触がその後の調整全体を左右するため、制度の説明から入るよりも、まず相手に敬意を示して相談姿勢を明確にすることが大切である。

書類を整えるのは、その後でいい。まず「顔を合わせて話す」ことが、漁協との信頼関係の第一歩になり、多くの漁協は磯焼けに危機感を持っていて、真剣に取り組む団体や個人には協力的である一方、その協力を引き出すには法律の知識だけでなく、現場の漁業者への敬意と丁寧なコミュニケーションが欠かせない。

具体的な駆除技術や効果的な手法については、すでに実績のある地域の事例を参考にする。水産庁の「磯焼け対策全国協議会」の資料や、各都道府県の水産試験場の報告書には、駆除方法、必要な人員、費用、効果までが詳細に記録されており、これらの情報はほとんどがオンラインで公開されているため、駆除計画の立案に直接使える。

最後に、駆除活動は「継続」が命であり、単発のイベントで終わらせず、年間スケジュールを組んで定期的に実施する体制を作る必要がある。そのためには、漁協との長期的な協力関係、参加者の確保、資金の確保が必要になるため、初年度は小規模に始め、実績を積みながら徐々に規模を拡大する進め方が現場では取り組みやすい。まずは対象水域の漁協に連絡を入れることから始めたい。

この記事は「漁業経営改善ガイド — 既存漁業者のための収益改善戦略」の関連記事です。漁業に関する体系的な知識はこちらのガイドをご覧ください。

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