水産加工品の品質を左右するのは原料鮮度と温度管理。氷締め直後の処理温度を5℃以下に保てるかどうかで、製品の日持ちと味が決まる。

主要データ

  • 水産加工品生産量:234万トン(水産庁「水産白書」令和5年版)
  • 加工向け水揚げ比率:国内消費の37.2%(農林水産省「食料需給表」令和4年度)
  • 干物類の生産額:約1,248億円(水産庁「漁業・養殖業生産統計」令和4年)
  • 冷凍冷蔵能力:367万トン(水産庁調べ、令和5年3月末)

氷締め後12時間で勝負が決まる——よくある鮮度管理の失敗

秋田県の定置網漁協で干物加工を始めた事業者が試作品を東京の仲買に見せたところ「脂が回っていない」と返品されており、原料は朝6時の水揚げ直後に氷締めし午後3時から加工を始めていたものの、問題は氷締めから加工場への搬入までの9時間に発泡スチロール箱へ氷を入れただけで保冷車を使わなかった点にあり、外気温28度の7月には箱内温度が12度まで上昇していた。

この温度帯では魚体内の酵素活性が止まらず、アジやサバのような多脂魚ではATP分解が急速に進んで旨味成分のイノシン酸が減少するため、脂の乗った時期の原料を使っていても、干物にした段階で味が抜けた製品になりやすい。

現場では氷締めさえすれば鮮度が保たれると考えがちだが、それが通用するのは水揚げ直後の数時間に限られ、加工場に入るまでの搬送時間が6時間を超える場合は氷だけでは温度管理が追いつかないことが多い。特に日本海側では、2026年7月現在、秋田県沿岸で海面水温が23.5度(平年比+2.0度)、佐渡沿岸で23.6度(平年比+1.7度)と高い状態が続いているため水揚げ直後の魚体温度も例年より高く、氷の溶解速度が速いうえ補充なしでは4時間で保冷能力が落ちる。水産庁の「水産白書」(令和4年版)によれば、水産加工品のうち冷凍水産物の生産量は約125万トン、塩・干・くん製品は約26万トンとなっており、干物を含む塩干品が加工品全体の重要な位置を占めていることが見て取れる。

原料受け入れ時の温度計測を怠るパターン

加工場に搬入された原料魚の温度を測らずに処理を始める事業者は少なくなく、氷が残っていれば冷えていると判断しがちだが、発泡箱の底部と上部では温度差が3〜5度あるため、表層だけが冷えていても箱の中心部や下層は10度を超えていることがある。

受け入れ時には必ず中心温度を測り、魚体の背側筋肉部にデジタル温度計の針を差し込んで5度以下であることを確認してから処理ラインに投入したい。ここを省くと、加工後の日持ち試験で基準を満たさない製品が出やすく、原因の切り分けも難しくなっていく。

なぜ温度管理に失敗するのか——現場の3大要因

要因1:搬送時間の見積もりミス

漁港から加工場までの距離が近ければ問題は表面化しにくいが、実際には複数の漁港から原料を集める体制が多く、能登半島北部の事例では港から加工場まで車で40分かかるうえ、さらに別の港を回って追加の原料を積むため、最初に積んだ魚は3時間以上箱に入ったままになり、この間に氷を追加しないと温度はじわじわ上がっていく。

教科書では「氷締め後すぐに加工」とされるが、現場には複数港からの集荷、仕分け作業、加工場の受け入れ待ち時間があり、その背景には加工ラインの処理能力に限界があるという事情がある。1時間あたり500kgしか処理できないラインで朝に1.5トンの原料が集まれば、後半の魚は3時間待つことになり、搬送の遅れと場内待機が重なるほど温度管理は崩れやすい。

要因2:氷の量と配置の不適切さ

発泡箱に魚を入れて上から氷をかけるだけでは冷却効率が悪く、魚同士が密着している箇所には氷が届かないため、局所的に温度が高いまま保たれる。特にブリやカツオのような大型魚は体積が大きく、表面が冷えて見えても中心部の冷却には時間がかかる。

適切な方法は、箱の底に砕氷を敷き、魚を並べた後に上下左右を氷で覆う「サンドイッチ方式」であり、魚1kgに対して氷0.5〜0.7kgの比率が目安になる。ただし、この比率は外気温25度以下の場合を前提にしたもので、夏場の高温時には氷の比率を1:1まで増やさないと、搬送の途中で冷却力が足りなくなる。

要因3:加工場内の温度管理体制の欠如

加工場の作業室温度が20度を超えている現場もあり、換気のために窓を開けたまま作業する、冷房設備がない、原料の仮置きスペースに冷蔵設備がないといった条件が重なると、原料魚を5度以下で搬入しても20度の室内に30分置くだけで表面温度は15度まで上がる。

水産庁の「HACCP対応のための施設基準」では加工室の温度を15度以下に保つことが推奨されているが、この基準は大型の加工施設を想定しているため、小規模事業者では設備投資の負担が重くなりやすい。その一方で、加工ラインに直結した冷蔵庫を設置し、作業する分だけ小出しにして取り出す運用に変えるだけでも、場内での温度上昇はかなり抑えられる。

漁業の統計データをダッシュボードで見る →

正しい水産加工品製造の手順——原料処理から製品化まで

Step 1:原料魚の鮮度判定と選別

加工場に搬入された原料は、まず鮮度判定を行う。目視で確認するポイントは眼球の透明度、鰓の色、魚体の硬直状態であり、眼球が白濁している、鰓が褐色に変色している、硬直が完全に解けて柔らかくなっている魚は加工に適さない。

鮮度判定には「K値」という指標があり、K値20%以下が刺身用、20〜40%が加熱用、40%以上は加工に不向きとされるが、現場で毎回K値を測定するのは現実的ではないため、魚体を持ったときの張り、鰓を開いたときの色と臭い、魚体表面の粘液の状態を総合して判断することになる。

選別後はサイズごとに仕分ける。干物加工では同じサイズの魚を同じ条件で処理することで乾燥ムラを防ぎやすく、100g前後の小アジ、150〜200gの中アジ、300g以上の大アジといった具合に分けていくと、後工程の調整もしやすい。

Step 2:下処理と洗浄

干物や塩蔵品を作る場合は内臓を取り除き、包丁で腹を開いて内臓を掻き出した後に流水で腹腔内の血合いや膜を洗い流すが、この工程で水温が高いと魚肉に雑菌が繁殖しやすくなるため、水温は10度以下が理想となる。とはいえ、夏場の水道水は25度を超えることがある。

佐渡島の加工場では井戸水を使って年間を通じて12〜14度の水温を確保しており、井戸がない場合でも水道水をいったん冷蔵タンクに貯めて冷やしてから使う方法がある。設備投資が難しい場合でも、朝の早い時間帯に処理を集中させて水温が上がる前に洗浄を終える運用にすれば、品質低下のリスクは抑えられる。

洗浄後は水切りをする。魚体表面に水分が残っていると次の塩漬け工程で塩の浸透が不均一になるため、ザルに並べて5〜10分自然に水を切るか、エアブローで水滴を飛ばす。

Step 3:塩漬けと調味

干物の味を決めるのは塩漬け工程であり、塩分濃度、漬け込み時間、温度の3要素をそろえて管理しなければ、同じ魚種でも仕上がりは安定しない。一般的な干物では塩分濃度2.5〜3.5%の塩水に30分〜2時間漬けるが、魚種によって適正な条件は異なる。

アジやサバのような脂の多い魚は塩分濃度を高めにして短時間で仕上げる一方、イカやタコは低塩分で長時間漬けることで身が硬くなりにくいため、魚種ごとの塩漬け条件は試作を重ねながら自社の基準として固めていく必要がある。

塩水温度は5〜10度に保つ。温度が高いと塩の浸透速度は速くなるが、同時に魚肉の保水性が落ちて乾燥後にパサついた食感になりやすいため、冷蔵庫内で塩漬けするのが理想であり、スペースの都合で難しい場合は氷を入れた塩水で温度を下げて対応する。

Step 4:乾燥

塩漬けした魚を水切りし、乾燥工程に入る。天日干しと機械乾燥があるが、商業生産では品質の安定性から機械乾燥が主流であり、乾燥温度は15〜25度、湿度60〜70%、風速1〜2m/秒が標準的な条件となっている。

乾燥時間は魚のサイズと目標とする水分値で変わり、小アジの開き干しなら8〜12時間、サバの文化干しなら16〜20時間が目安となるため、同じ設備でも原料の厚みや脂の乗りで終了時刻は前後する。水分含量を40〜50%に仕上げると、冷蔵で7〜10日の日持ちが期待できる。

乾燥ムラを防ぐには魚を並べる間隔と向きが重要であり、魚同士が接触しないよう5cm以上の間隔を空け、風向きに対して魚の頭を揃えて並べると風の当たり方が均一になる。さらに、乾燥途中で魚の上下を入れ替えるとムラは減っていく。

Step 5:包装と保管

乾燥が終わった製品は粗熱を取ってから包装する必要があり、熱いまま包装すると袋内に水滴がついてカビの原因になるため、室温まで冷ましてから真空包装、またはガス置換包装を行う。

保管温度は5度以下が基本であり、農林水産省の「食品製造におけるHACCP入門のための手引書」では水分活性0.85以上の食品は10度以下での保管が求められている。干物は水分活性が0.90前後あるため冷蔵保管が前提となり、冷蔵設備がない場合は水分含量を35%以下まで下げて常温保管可能な「乾燥度の高い製品」にする選択肢もあるが、食感が硬くなるため市場の好みとずれることもある。

前提条件と必要な設備・道具

施設・設備の要件

水産加工品を製造するには食品衛生法に基づく営業許可が必要であり、管轄の保健所に「水産製品製造業」または「そうざい製造業」の許可申請をする。施設基準として原料処理室と製品保管室の区分け、手洗い設備、排水設備が求められ、令和3年6月の食品衛生法改正により営業許可業種が再編され、水産加工品製造は「水産製品製造業」に統合された。

加工規模によって設備投資額は大きく変わり、日産50〜100kgの小規模加工なら中古の冷蔵庫、作業台、包丁・まな板、乾燥機で初期投資200万〜300万円程度から始められるが、日産500kg以上の規模になると冷凍冷蔵設備、連続式乾燥機、真空包装機などで1,500万〜3,000万円の投資が必要になる。水産庁の「水産加工業をめぐる情勢」(令和5年)によれば、水産加工場数は4,635事業所で、10年前と比べて約22%減少している。

乾燥機の選択は品質に直結する。小型の除湿乾燥機(容量50〜100kg)は80万〜150万円、中型の熱風乾燥機(容量200〜500kg)は300万〜600万円が相場であり、天日干しは設備費が不要である一方、天候に左右されるため生産計画は組みにくい。

原料調達の前提

安定した原料確保が事業継続に直結するため、地元漁協と契約して定置網や底曳き網の漁獲物を優先的に回してもらう体制を作りたい。ただし、漁模様によって水揚げ量は変動するので、仕入れ先を一つに絞ると原料不足に陥りやすい。

水産庁の「漁業センサス」(2023年)によれば、漁業経営体数は8万9千経営体で5年前と比べて14.3%減少しており、漁業者の減少によって加工向け原料の安定確保が年々難しくなっている。この状況では、複数漁協との関係構築、養殖事業者からの調達、市場での競り参加など、単一ルートに依存しない調達体制が前提になる。

人員体制と技能

小規模加工場では経営者1名と補助スタッフ2〜3名の体制が一般的であり、魚の捌き方、塩加減の判断、乾燥具合の見極めといった技能は現場で3ヶ月〜半年かけて習得する。未経験者を雇う場合は、最初の1〜2ヶ月を洗浄や包装などの単純作業から始め、徐々に魚の処理を任せるステップを踏む。

繁忙期と閑散期で作業量の差は大きく、秋から冬にかけてのサンマやサバの水揚げ時期は1日500〜1,000kgの原料を処理する一方、春から夏は100〜200kgに落ち込む。こうした変動があるため、通年で同じ人数を固定するより、パートタイム雇用や農繫期以外の農家に副業として手伝ってもらう体制を組む事業者も見られる。

プロと初心者の差が出る5つのポイント

ポイント1:魚の脂の乗り具合を触感で判断できるか

同じ魚種でも水揚げ時期や漁場によって脂の乗りは変わり、脂が乗った魚は干物にすると旨味が強く高値で売れる一方、脂が少ない魚を同じ条件で加工するとパサついた製品になりやすいため、原料段階での見極めが収益と品質の両方に響く。

プロは魚体を持った瞬間に脂の乗りを判断しており、腹部を軽く押したときの弾力、皮の光沢、魚体を曲げたときのしなり方で見分ける。脂が乗った魚は身が柔らかく曲げると滑らかにしなり、脂が少ない魚は硬く、曲げると折れるような感触がある。

この見極めができると、脂の乗った魚は塩分を抑えめにして脂の味を活かし、脂が少ない魚は調味液に味醂や酒を加えて旨味を補うといった調整が可能になるが、初心者は魚種名だけで判断して個体差を見落としやすい。

ポイント2:塩漬け時間を固定していないか

マニュアルに「塩分3%で1時間」と書いてあっても、魚のサイズ、鮮度、水温によって塩の浸透速度は変わるため、同じ条件で漬けても仕上がりの塩分にはばらつきが出る。

プロは漬け込み途中で魚を1尾取り出し、背肉を少し削いで舐めて塩加減を確認し、目標の塩味に達していれば引き上げ、薄ければ追加で10〜15分漬ける。この微調整ができるかどうかで、製品の味の安定性は大きく変わってくる。

ポイント3:乾燥機内の温湿度分布を把握しているか

乾燥機内は場所によって温度と湿度にムラがあり、熱風の吹き出し口に近い場所は乾燥が早い一方で奥側や下段は遅いため、同じ時間乾燥させても場所によって水分含量が5〜10%違うことがある。

プロは乾燥機内の特性を把握し、乾燥しやすい場所には大きい魚、乾燥しにくい場所には小さい魚を配置するだけでなく、乾燥途中で棚の位置を入れ替えて全体が均一に仕上がるよう調整する。初心者は魚を並べた後に触らないことが多く、その結果として乾燥ムラが残りやすい。

ポイント4:製品の日持ち試験をしているか

加工品を販売する前には、実際にどのくらい日持ちするかを確認する試験が必要であり、製品を冷蔵保管して3日ごとに臭い、粘り、変色を確認し、10日目まで問題なければ賞味期限を7日と設定するといった判断を行う。

プロは製品ごとに日持ち試験の記録を取り、保管温度や包装方法を変えたときの影響をデータ化しているが、初心者は経験や勘だけで賞味期限を設定しやすく、クレームが出てから見直す後手の対応になりがちである。

ポイント5:原価計算を魚種ごとに細かく出しているか

水産加工の原価は原料費、塩や調味料などの資材費、光熱費、人件費で構成され、原料の歩留まりは魚種によって大きく違うため、アジの開き干しは歩留まり60〜65%、イカの一夜干しは70〜75%、サンマの丸干しは85〜90%といった差を前提に見なければならない。

プロは魚種ごとに原料1kgあたり何gの製品ができるか、それに何円のコストがかかるかを記録しており、その数字を元に仕入れ価格の上限や販売価格を決める。一方で初心者は原料費だけを見て判断しやすく、歩留まりの悪さを織り込まないまま加工して、最終的に採算が合わなくなるケースがある。

現場での判断基準——状況に応じた対応

原料の鮮度が落ちているときの判断

時化で出漁できず、数日ぶりの水揚げで魚の鮮度が落ちている状況では、硬直が解けて柔らかくなった魚を通常の干物加工に回すと日持ちが極端に悪くなるため、同じ製法をそのまま当てはめない判断が必要になる。

この場合は加工方法を変え、鮮度の落ちた魚を塩分濃度を高めにして保存性を上げるか、煮付けや竜田揚げ用の加工品に振り向けるか、あるいは当日中に加工して翌日販売する「朝干し」スタイルにして鮮度が落ちる前に売り切る戦略を取る。

鮮度に応じた製品設計が要る。

乾燥機が故障したときの代替手段

乾燥機の故障は加工場の稼働を止めるリスクがあり、修理に数日かかる場合は原料を仕入れ済みである以上、腐らせる前に別の方法で処理する必要があるため、平時から代替手段を想定しておくことが欠かせない。

代替手段として天日干しに切り替える方法があるが、天候次第では乾燥が進まず、凪の日なら問題なくても湿度の高い日や曇天が続く時期は半乾きのまま夜を迎えてしまう。この場合は、扇風機を複数台使って強制的に風を当て、室内で乾燥させる方法も選択肢に入る。

あるいは近隣の加工場に乾燥を委託する方法もあり、同業者と協力関係を築いておけば緊急時に設備を融通し合えるため、設備トラブルは起こりうる前提で事前準備を進めておきたい。

塩の種類による仕上がりの違い

塩は製品の味に直結し、食塩(精製塩)、天日塩、岩塩など種類によって塩味の強さとミネラルバランスが異なるため、食塩は純度が高く塩味が強く、天日塩はミネラル分が多いためまろやかな塩味になる。

プロは製品のコンセプトに合わせて塩を選び、量産品で価格を抑えるなら食塩、高付加価値の製品なら天日塩や藻塩を使うが、天日塩はミネラル分が多い分だけ溶けにくく塩ムラが出やすい。そのため、使う場合は塩水を事前に作って完全に溶かしてから魚を漬ける手間が必要になる。

販売先によって求められる品質基準の違い

小売店、飲食店、通販では求められる製品仕様が違い、小売店は見た目の美しさと日持ちを重視するため、形が揃い、変色がなく、賞味期限が10日以上ある製品が好まれる。一方で飲食店は調理のしやすさと価格を重視し、多少形が不揃いでも味が安定していてコストが安ければ使う。

通販では個包装と配送時の品質維持が重要であり、真空包装して冷凍し、解凍後もドリップが少ない製品が求められるため、同じ魚種であっても販売先ごとに仕様を変える柔軟性が売上の伸びに直結する。

季節ごとの加工条件調整

夏場と冬場では同じ魚種でも加工条件を変える必要があり、夏は気温が高く原料魚の温度も高いため、乾燥機の温度設定を冬より2〜3度下げ、湿度を高めにして急激な乾燥を防ぐ。急激に乾燥させると表面だけ硬くなって内部の水分が抜けきらず、カビの原因になる。

冬は気温が低く湿度も低いため乾燥が進みやすいが、原料魚の脂の乗りが良い時期でもあるため、乾燥機の温度を高めに設定して短時間で仕上げる場合でも上げすぎには注意がいる。脂が溶け出すのを避けるには、温度設定を20度以下に抑えて時間をかけて乾燥させる方が品質は安定しやすい。

季節ごとの気温、湿度、原料の状態に応じて加工条件を細かく調整することが、安定した品質を保つうえでの技術差として表れやすい。

次にやるべきこと——加工技術の向上ステップ

水産加工品の品質を上げるには、まず温度管理の徹底から始め、原料受け入れ時の温度測定、加工室の温度モニタリング、製品保管温度の記録を毎日つける必要がある。記録を1ヶ月続けると、温度が上がりやすい時間帯や工程が見えてくる。

次に、塩漬け条件の試作を繰り返し、同じ魚を塩分濃度2%、3%、4%で漬け、それぞれ30分、1時間、2時間後の味を比較しながら、自分の製品に最適な条件を見つけていく。この試作データは、新しい魚種を扱うときの基準にもなる。

設備投資を検討するなら、温度記録計とデジタル塩分計を最初に揃えたい。温度記録計は自動でデータを記録して後から振り返ることができ、塩分計は製品の塩分を数値化できるため、2つ合わせて10万円程度の導入でも品質の安定性向上につながる。

まずは手元にある道具で原料温度の測定と記録を今日から始め、日々の数字を工程改善につなげていくことが品質向上の出発点となっていく。

この記事は「漁業経営改善ガイド — 既存漁業者のための収益改善戦略」の関連記事です。漁業に関する体系的な知識はこちらのガイドをご覧ください。

この分野の統計データは「漁業の統計データ」で、グラフとテーブルで一覧できます。