はえ縄漁は海底や中層に針付き幹縄を展開し多種を一度に獲る漁法で、針の配置と餌付け速度が水揚げ量を左右する。
主要データ
- はえ縄漁業の海面漁業生産量:約18.3万トン(水産庁「漁業・養殖業生産統計」2022年)
- 全国のはえ縄漁業経営体数:約4,200経営体(農林水産省「漁業センサス」2023年)
- まぐろはえ縄の1操業あたり平均漁獲量:1.8〜2.4トン(水産庁「遠洋まぐろはえ縄漁業実態調査」2023年)
- 近海はえ縄の幹縄長:10〜25km、枝縄本数:800〜3,000本(水産庁「沿岸漁業経営調査」2022年)
はえ縄漁でよく詰まるのは餌付けの速度だ
八戸の沖合底はえ縄の現場で、新しく加わった乗組員が最初に挫折しやすいのは餌付けの速度であり、幹縄が繰り出される速さに追いつけないまま枝縄を絡ませて投入すると、針が海底に届かず空針が続いて、その後の水揚げにまで響いてしまう。ベテラン漁師は1分間に15〜20本の針に餌を付けるが、経験の浅い者は6〜8本がやっとだ。投縄中に船は止まらない。餌付けが遅れると幹縄の張りが失われ、次の操業での回収時に絡まりが増える。水産庁「令和4年度 水産白書」によると、はえ縄漁業を含む沿岸・沖合漁業の就業者平均年齢は約60歳で、40歳未満の割合は約15%にとどまり、熟練技術の継承が課題となっている。
教科書的なはえ縄漁の説明では「幹縄に一定間隔で枝縄を配置し、針に餌を付けて海中に展開する」と書かれるが、実際の現場では投縄速度が毎分80〜120メートルで進行するため、餌付けだけでなく針チェックと枝縄の絡み解除まで同時並行で処理しなければならず、速度が追いつかない理由も単純な手先の技術不足というより、どの作業を先に片づけるかという優先順位の理解が浅いことにある。
結論からいえば、はえ縄漁の成否は「投縄前の準備7割、投縄中の処理3割」で決まる。海上での修正は限られるため、幹縄の巻き方、枝縄の配置、餌の切り方を陸上で整えておかなければ、沖での作業は高い確率で崩れていく。
この手順を知る前と知った後で何が変わるのか
知らなかった頃の典型的な失敗
気仙沼の底はえ縄漁船で2年目のある乗組員は、投縄中に枝縄が幹縄に巻きついたまま海に入れてしまい、回収時には針が海底に届いていなかったため獲物はゼロとなり、さらに幹縄の絡みを解くのに3時間を費やしたことで、その日の操業は1回で終わった。通常なら2〜3回は投入できる海域だったが、時間を失った。
失敗の原因は投縄速度に対する認識不足であり、幹縄は船の進行と連動して繰り出され、投縄機の速度設定も海流・風向き・水深で変わるが平均で毎分90メートル前後になるため、枝縄の間隔が10メートルなら1分間に9本の針を処理する必要があり、餌付けだけなら可能でも、絡みチェック・針先の確認・浮き玉の位置調整まで加えると15秒で1本を完結させなければ追いつかない。
手順を知った後の変化
同じ乗組員が1年後、投縄前の準備段階で枝縄を事前に広げ、餌を切り分けて配置する方法に切り替えたことで、投縄中は餌を刺すだけの動作に集中できるようになり、処理速度は1分間に12本まで上がり、さらに幹縄の巻き癖を陸上で修正する作業を加えたことで、絡みの発生率も3割減った。
水揚げ量は月平均で1.7トンから2.3トンに増加した。空針の割合が減り、針あたりの漁獲効率が上がったことが要因だ。投縄回数も1日2回から3回に増え、操業時間あたりの生産性が向上した。つまり、ここで変わったのは特別な技術そのものではなく、準備と本番の作業配分を見直し、海上で迷う場面を減らしたことにある。
はえ縄漁の全体像を作業の流れで把握する
はえ縄漁は大きく分けて「準備」「投縄」「浸漬」「揚縄」「処理」の5段階で構成されており、各段階の所要時間と作業内容を正確に把握することが、海況の変化に対応しながら操業計画を組み立てるうえでの基礎となる。
準備段階(陸上・港内)
準備は幹縄の点検と巻き直しから始まり、使用後の幹縄には癖が残って次回投入時に絡みやすくなるため、幹縄を地面に広げてねじれを手で戻しながら巻き直す必要があり、10キロメートル分の幹縄で約2〜3時間かかるうえ、枝縄も1本ずつ針先の鋭さを確認して、鈍った針は研ぐか交換しなければならない。
餌の準備も陸上で済ませる。冷凍サンマ・イカ・サバを使う場合、解凍後に1尾を3〜4片に切り分け、投縄時にすぐ刺せる状態にしておく。餌の大きさは対象魚種で変わるが、マダラ・アブラガレイを狙う底はえ縄では、サンマ1尾を3片(頭部・中央部・尾部)に切り、各片の長さを8〜12センチに揃える必要があり、小さすぎると針持ちが悪く、大きすぎると餌だけ取られる。
投縄段階(海上)
投縄は船を一定速度で航行させながら幹縄を繰り出す作業であり、船速は2〜3ノット(時速約3.7〜5.6キロメートル)に保つが、速すぎると幹縄が浮き、遅すぎると海底に沈んで根掛かりするため、投縄機で幹縄を繰り出しながら枝縄を取り付けた針に餌を刺して海に落とす流れを乱さないことが重要になる。
枝縄の間隔は対象魚種と水深で決まる。底はえ縄では10〜15メートル間隔、中層はえ縄では20〜30メートル間隔が一般的だ。間隔が狭いと絡みやすく、広いと漁獲効率が落ちる。幹縄の全長が15キロメートル、枝縄間隔が12メートルなら、針の本数は約1,250本になる。投縄に要する時間は船速と幹縄長で決まり、15キロメートルなら約2.5〜3時間かかる。
浸漬段階(待機)
幹縄を海中に展開した後は一定時間放置して魚が針に掛かるのを待つが、浸漬時間は対象魚種と海域の活性で変わるため、マダラ・キンメダイを狙う場合は3〜5時間、マグロ類では8〜12時間を標準としつつ、時化の予兆があれば短縮して早めに揚縄を開始する判断が求められる。
浸漬中は幹縄の位置を示すブイを目視で確認し続ける。潮流が速い海域では幹縄が流され、当初の位置から数キロメートル移動することもある。GPS標識ブイを使う場合、位置情報を定期的にチェックし、揚縄時の探索時間を短縮する。
揚縄段階(回収)
揚縄機で幹縄を巻き上げながら、針に掛かった魚を取り込む。揚縄速度は毎分60〜80メートルで、投縄より遅い。魚が掛かった針を無理に引くと針が外れるため、魚の動きを見ながら速度を調整する。
針に掛かった魚は玉網で船上に引き上げ、すぐに活け締めまたは神経締めを行うが、鮮度が価格に直結する魚種では揚縄直後の処理速度が収益を左右するため、キンメダイ・アカムツでは揚縄から締めまでの時間を1分以内に抑えるのが理想とされる。
処理段階(船上・帰港後)
船上で魚を選別し、サイズごとに魚倉に収める。氷または冷海水で冷却し、鮮度を保つ。帰港後は市場に運び、競りまたは相対取引で販売する。市場の入荷量は日によって大きく変動するため、はえ縄漁船では水揚げの量だけでなく、どのタイミングで出荷するかも収益判断の一部になっている。
水産庁の「漁業・養殖業生産統計」(2022年)によると、はえ縄漁業の海面漁業生産量は約18.3万トンで、うちまぐろ類が約5.7万トン、底魚類が約3.2万トンを占めるが、この統計には小規模な沿岸はえ縄漁業の一部が含まれていない可能性もあり、実際の生産量はやや多いと推定される。
各ステップの実務的な手順と判断ポイント
幹縄の巻き方と癖取り
幹縄は使用後に必ず癖が残る。癖があると次回投入時にねじれ、枝縄が絡む原因になる。癖取りは幹縄を地面またはドラムに広げ、ねじれの方向と逆に回しながら巻き直す作業だ。ポリエチレン製の幹縄は癖が残りやすく、ナイロン製は伸びやすいが癖は少ない。
現場では幹縄を巻く方向を統一する。右巻きで巻いた幹縄を左巻きで巻き直すと、ねじれが増幅されるため、巻き方を記録し、次回も同じ方向で巻く習慣をつけることで癖の蓄積を防げる。釧路地方のはえ縄漁船では、幹縄の巻き方を乗組員全員で共有し、交代作業でもねじれが発生しないよう管理している。
枝縄の配置と間隔調整
枝縄の間隔は対象魚種の遊泳層と捕食行動で決める。底はえ縄でマダラを狙う場合、枝縄は10〜12メートル間隔で配置する。間隔が狭すぎると隣の枝縄と絡み、広すぎると海底をカバーできない。枝縄の長さは水深の1〜1.5倍が基準だ。水深200メートルの海域では、枝縄を200〜300メートルに設定する。
中層はえ縄でメカジキを狙う場合は、メカジキが広範囲を回遊するため枝縄間隔を25〜30メートルに広げても漁獲効率は落ちにくく、枝縄の長さを100〜150メートルに設定したうえで、浮き玉の配置によって幹縄の深度を調整し、対象層に針を届けることになる。
餌の種類と切り分け方
餌の種類は対象魚種の食性で選ぶ。底魚類(マダラ・カレイ類)にはサンマ・イワシの切り身、マグロ類にはイカ・サバの切り身を使う。冷凍餌は解凍後にドリップが出るため、投縄直前に解凍するか、半解凍状態で使う。完全に解凍すると餌が柔らかくなり、針持ちが悪化する。
餌の切り方は針のサイズと魚種で変える。マダラ用の針(チヌ針14〜16号相当)には、サンマ1尾を3〜4片に切り、各片を8〜12センチにする。針先が餌の中心を貫通し、先端が1〜2センチ出るように刺す。針先が出ないと魚の口に刺さりにくく、出すぎると餌が外れやすい。水産庁「漁業・養殖業生産統計」(2022年)によると、底はえ縄漁業の主要漁獲魚種はマダラ、キンメダイ、アカムツで構成され、これら底魚類は合計で年間約3.2万トンが水揚げされている。
宮城県石巻のはえ縄漁船では、餌の切り分けを陸上で済ませ、1回の操業分をトレーに並べて冷凍保存する方法を取り入れており、投縄時は解凍したトレーから餌を取り出すだけで済むため、作業速度が2割向上した。
投縄速度と船速の調整
投縄速度は船速と投縄機の繰り出し速度で決まる。船速2.5ノット、投縄機の繰り出し速度を毎分90メートルに設定すると、幹縄は船の進行方向に対してほぼ直線に近い角度で海中に入る。船速が速すぎると幹縄が浮き、遅すぎると幹縄が船底に絡む。
海流が速い海域では、順流では船速を下げ、逆流では船速を上げるという基本を踏まえつつ、GPS魚探で船の対地速度を確認して実際の幹縄の展開角度を把握しなければ、設定値どおりに投縄しているつもりでも狙った深度や配置から外れることがある。
浸漬時間の判断基準
浸漬時間は魚の活性と海況で決める。水温が高く魚の活性が高い時期は、浸漬時間を短くしても漁獲量は変わらない。逆に水温が低く活性が低い時期は、浸漬時間を延ばして魚が針に掛かる確率を上げる。海域ごとの水温推移を見ながら、通常より短くするか長くするかを決めるのが実務上の基本になる。
時化の予兆がある場合、浸漬時間を短縮して早めに揚縄を開始する。波高が2メートルを超えると揚縄作業の安全性が低下し、3メートルを超えると作業中断を検討するため、天候の変化を予測し、浸漬開始時点で揚縄完了までのスケジュールを組んでおく必要がある。
揚縄時の魚の取り込み方
揚縄時、針に掛かった魚を玉網で取り込む際は、魚の動きを見て玉網を入れるタイミングを判断する。魚が暴れているときに無理に引くと針が外れる。魚の動きが止まった瞬間に玉網を差し入れ、一気に船上に引き上げる。
大型魚(マグロ類・大型カジキ)は玉網で取り込めないため、銛で仕留めるか、尾に縄を掛けて船上に引き上げるが、魚が船側で暴れると船体を傷つけるおそれがあるため、魚の頭を海面下に保ちながら慎重に取り込むことになる。
活け締めと神経締めのタイミング
活け締めは魚の延髄を切断して即死させる方法で、血抜きと同時に行う。神経締めは延髄から脊髄に針金を通して神経を破壊する方法で、死後硬直を遅らせる効果がある。キンメダイ・アカムツ・マダイなど高級魚では、神経締めまで行うことで市場価格が1.5〜2倍に上がる。
揚縄直後、魚が生きている状態で締めるのが理想であり、時間が経過して魚が弱ると血抜きの効果が低下するため、揚縄作業中は魚の鮮度を優先して締め作業を最優先で行い、複数の魚が同時に揚がった場合は価格の高い魚種から順に処理する。
必要な道具と揃える順序
幹縄と枝縄
幹縄はポリエチレン製またはナイロン製の太縄で、直径6〜12ミリメートルが一般的だ。底はえ縄では沈降性の高いポリエチレン製を選び、中層はえ縄では浮力調整がしやすいナイロン製を選ぶ。幹縄の長さは操業海域の広さと対象魚種で決まり、沿岸はえ縄では5〜10キロメートル、沖合はえ縄では15〜30キロメートルが標準だ。
枝縄はテグス製またはワイヤー製で、太さは対象魚種の引きの強さで選ぶ。マダラ・カレイ類には30〜50号のテグス、マグロ類には80〜150号のテグスまたは細いワイヤーを使う。枝縄の長さは水深と遊泳層で決め、底はえ縄では1〜3メートル、中層はえ縄では100〜200メートルに設定する。
針とスナップ
針のサイズは対象魚種の口の大きさで選ぶ。マダラにはチヌ針14〜16号相当、マグロ類には3.5〜4.5寸(約10.6〜13.6センチメートル)のマグロ針を使う。針先の形状はストレートタイプとカーブタイプがあり、底魚類にはストレート、回遊魚にはカーブを選ぶことが多い。
スナップは枝縄を幹縄に接続する金具で、ステンレス製または真鍮製が一般的だ。スナップの強度は枝縄の引っ張り強度以上を選ぶ。安価なスナップは海水で錆びやすく、操業中に破損することがある。長崎県五島列島のはえ縄漁船では、ステンレス製のスナップに統一し、錆による破損を減らしている。
投縄機と揚縄機
投縄機は幹縄を一定速度で繰り出す機械で、油圧式または電動式がある。速度調整が細かくできる機種を選ぶと、海況に応じた投縄速度の変更が容易になる。揚縄機は幹縄を巻き上げる機械で、巻き上げ速度と引っ張り強度が重要だ。大型魚が掛かったときに耐えられる強度を持つ機種を選ぶ。
投縄機と揚縄機の選定では、部品の入手性が悪い機種は故障時の修理に時間がかかるため、メンテナンスのしやすさも考慮する必要があり、国内メーカーの機種は部品供給が安定しているぶん、漁期中の故障リスクを下げやすい。
餌と保冷設備
餌は冷凍サンマ・イカ・サバを使う場合、船上の冷凍庫または保冷庫で保管する。1回の操業で使う餌の量は針の本数で決まり、1,000本の針なら30〜50キログラムの餌が必要だ。餌の鮮度が落ちると魚の食いつきが悪くなるため、使い切れる量だけを解凍する。
保冷設備は魚倉と兼用する場合が多く、氷または冷海水で冷却して魚の鮮度を保つが、キンメダイ・アカムツなど高級魚は0〜2度で保管し、マグロ類はマイナス40〜60度で急速冷凍する必要があり、冷却能力が不足すると鮮度落ちが早まり市場価格も下がる。
現場で応用するための実践的なコツ
海況に応じた幹縄の深度調整
幹縄の深度は浮き玉の数と配置で調整する。底はえ縄では幹縄を海底から1〜3メートル浮かせるのが標準だが、海底の起伏が激しい海域では5〜10メートル浮かせて根掛かりを防ぐ。浮き玉の浮力は海水の密度(塩分濃度)で変わるため、同じ数の浮き玉でも海域によって浮き方が異なる。
潮流が速い海域では、幹縄が流されて深度が変わる。投縄時に設定した深度が、浸漬中に10〜20メートル変動することもあるため、GPS魚探で海底地形を把握し、幹縄の流される方向を予測して投縄位置を調整する必要がある。
時化の予兆と操業中断の判断
時化の予兆は風向きの変化と波の周期で判断する。風向きが急に変わり、波の周期が短くなると、数時間後に波高が上がる可能性が高い。気象庁の海上警報を確認するのは前提だが、現場では空の色と雲の動きも判断材料にする。雲が低く垂れ込め、風が強まり始めたら、浸漬時間を短縮して早めに揚縄を開始する。
波高2メートルを超えると、揚縄作業の安全性が低下する。船が大きく揺れ、針に掛かった魚を取り込む際にバランスを崩しやすい。3メートルを超えると作業中断を検討し、幹縄を切り離して避難することもあるが、幹縄にGPS標識ブイを付けておけば後日回収できる。
空針率を下げるための餌の工夫
空針(餌が取られたが魚が掛かっていない針)の割合は、餌の付け方と餌の鮮度で変わる。餌を針先に浅く刺すと、魚が餌だけを取って逃げる。針先が餌の中心を貫通し、先端が1〜2センチ出るように刺すことで、魚が餌を飲み込んだときに針が口に掛かる確率が上がる。
餌の鮮度が落ちると、魚の食いつきが悪くなる。冷凍餌は解凍後6時間以内に使い切るのが理想だが、夏場は解凍速度が速く餌が柔らかくなりやすいため、クーラーボックスに氷を入れ、餌を冷やしながら使うことで鮮度を保ちやすくなる。
魚種ごとの針の使い分け
複数の魚種を同時に狙う場合、針のサイズと形状を混在させる方法がある。マダラとアブラガレイを狙う底はえ縄では、マダラ用の大きめの針(チヌ針16号)とアブラガレイ用の小さめの針(チヌ針12号)を交互に配置する。大きい針には大きい餌、小さい針には小さい餌を付け、両方の魚種に対応する。
ただし針のサイズが多すぎると投縄時の作業が複雑になるため、2〜3種類のサイズに絞って配置パターンを単純化するのが現実的であり、北海道釧路地方のはえ縄漁船では、マダラ用とカレイ用の2種類の針を10メートルごとに交互配置し、操業効率を保っている。
揚縄時の絡み解消テクニック
揚縄時に幹縄と枝縄が絡んでいる場合、無理に引くと絡みが悪化する。絡みを見つけたら揚縄機を止め、手で絡みをほどく。絡みの多くは投縄時のねじれが原因なので、絡みやすい箇所(幹縄の接続部、浮き玉の近く)を重点的にチェックする。
絡みがひどく、解消に時間がかかる場合は、その部分の枝縄を切断して後で修理する。揚縄作業を止めると、残りの幹縄が潮流で流され、位置を見失うリスクがあるため、絡み解消に費やせる時間は1箇所あたり5分が限度になる。
市場価格を意識した漁獲物の選別
揚縄時、針に掛かった魚を船上に取り込む際、市場価格の高い魚種を優先して処理する。キンメダイ・アカムツは即座に神経締めを行い、鮮度を最大限に保つ。マダラ・カレイ類は活け締めのみで十分だ。複数の魚種が同時に揚がったときは、価格順に処理の順序を決める。
市場価格は日々変動するため、漁協の市場情報を確認しながら価格の高い魚種に狙いを絞る判断は重要であり、水産庁「漁業経営調査」(2022年)によると、沿岸はえ縄漁業の1経営体あたり年間漁獲金額は平均約450万円で、高鮮度処理による単価向上が経営の安定に結びつくことが見て取れる。
今日から始める最初の一歩
はえ縄漁を始めるなら、まず陸上での幹縄と枝縄の準備から習得したい。投縄・揚縄の技術は経験で身につく一方で、準備が不十分だと海上での修正が効かないため、幹縄の癖取り、枝縄の配置、針の点検、餌の切り分けを整えてから海に出る必要があり、地元の漁協または先輩漁師に頼んで準備作業を1回見学し、その後は自分で1セット分の幹縄を組み上げて、実際に投縄できる状態まで仕上げる流れが現場では身につきやすい。
この記事は「漁業経営改善ガイド — 既存漁業者のための収益改善戦略」の関連記事です。漁業に関する体系的な知識はこちらのガイドをご覧ください。
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