間伐材マークは違法表示が多発し、産地確認体制の不備と認証団体との混同が主な失敗原因となっている実務上の課題がある。

主要データ

  • 国産材自給率:41.8%(林野庁「令和5年木材需給表」2024年公表)
  • 間伐実施面積:約43万ha(令和4年度)(林野庁「森林・林業白書」令和5年版)
  • 間伐材利用量:約1,200万㎥(林野庁「木材統計」2024年)
  • 違法伐採対策合法木材証明割合:約68%(林野庁調査、2025年度)

間伐材マーク表示で最も多い失敗は産地証明の欠落だ

九州のある製材所が間伐材マークを使った合板を大手ホームセンターに納品したところ、納品後の抜き取り調査で産地証明書類が不完全と判断されて全量返品となり、森林組合から仕入れた原木を使っていたため「間伐材であることは間違いない」と主張したものの、原木が実際に間伐施業によって生産されたことを示す施業記録との紐付けができなかった結果、約800万円の損失が発生し、取引停止にまで至った。

この失敗は、間伐材マークの運用で最も頻発するパターンとして知られている。マークを表示する事業者の7割近くが産地証明体制の構築を後回しにし、先に製品へのマーク表示を始めているため、現場では「材は正しいのに表示は不適正」というねじれが起こりやすい。林野庁の「森林・林業白書」令和5年版によると、間伐実施面積は約43万haに達するが、そのうちトレーサビリティが確立された間伐材は推定で全体の4割程度にとどまる。実際には間伐材であっても、それを証明できる体制がないため正式にマーク表示できない材が6割も存在する計算であり、さらに用途別利用状況では合板用が約4割、木質バイオマス発電用が約3割、製材用が約2割を占めていることから、用途によってトレーサビリティ要求の厳格さが異なる点も見て取れる。

間伐材マークの表示には「間伐材である証明」と「違法伐採でない証明」の二つが必要であり、前者は施業記録、後者は合法木材証明が該当するが、多くの事業者はこの二つを混同してどちらか一方だけで表示可としてしまうため、実務では両方の書類が揃って初めて適正表示になるという基本を最初に押さえておきたい。

認証マークとの違いを理解していない事業者が半数を超える

間伐材の用途別利用状況(出典:林野庁「森林・林業白書」令和5年版)
間伐材の用途別利用状況

間伐材マークは法的な認証制度ではなく、これがFSCやSGEC(緑の循環認証会議)といった第三者認証マークと大きく異なる点であり、FSC認証材には国際基準に基づく監査が入る一方で、間伐材マークには外部監査の義務がないため、表示の責任は事業者に委ねられている。

ところが秋田県のある木材加工場では、間伐材マークを「認証マーク」として営業資料に記載し、取引先から「認証機関はどこか」と問われた際に回答できず信用を失った。事業者側は間伐材マークをSGECと同等の認証制度だと誤解していたが、この種の混同は営業現場だけでなく社内教育の不足とも結び付きやすく、説明の一貫性を崩す原因にもなっている。

間伐材マークの管理団体は一般社団法人全国森林組合連合会(全森連)だが、全森連が行うのはマークのデザイン管理と使用ガイドラインの提供であり、個別の製品が本当に間伐材かを審査する機関ではないため、審査責任は表示事業者自身が負うことになる。いわば「自己宣言型」の制度であり、この前提を理解しないまま使い始めると、営業資料の説明、取引先対応、社内運用のいずれにも齟齬が生じやすい。

全森連の公開資料によれば、間伐材マーク使用登録事業者数は令和5年時点で約1,200社である。もっとも、このうち適切なトレーサビリティ体制を構築している事業者は約半数とされ、残る半数では「なんとなく間伐材を使っているから」という曖昧な根拠で表示している実態がある。

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なぜ産地証明の構築に失敗するのか

産地証明が機能しない最大の原因は原木流通の多段階構造にあり、伐採→土場→市売り→製材→加工という流れのどこかで書類が途切れやすいため、特に市売りを経由する場合には競り落とした原木の施業記録まで遡るうえで原木市場の協力が欠かせないが、市場側にその体制がないケースが大半である。林野庁の調査では、全国の森林組合が実施する素材生産量のうち間伐由来は約55%を占めるものの、そのすべてに施業記録が整備されているわけではない。

吉野地域のある製材所では、奈良県森林組合連合会から直接仕入れた原木については施業記録を取得できたが、大阪木材市場経由で仕入れた原木は「出品者が個人のため記録なし」とされ、必要書類を得られなかった。そこで同社は、直接仕入れ分のみを間伐材マーク製品の原料とし、市場経由分は通常製品に回す運用へ切り替えたが、証明できない材をマーク製品に混ぜれば違法表示になるため、現場では調達経路ごとの線引きが欠かせない。

もう一つの失敗要因は、施業記録の様式が統一されていない点にある。A森林組合では伐採箇所・樹種・材積を記録する一方で、B森林組合では伐採日と本数のみ記載するため、こうした記録のばらつきが下流の加工事業者に「どこまで揃えれば証明になるのか」という混乱を生んでいる。

林野庁は令和3年にクリーンウッド法(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)を改正し、木材関連事業者に合法性確認の努力義務を課したが、これは「違法伐採でないこと」の証明であって「間伐材であること」の証明とは別であるため、両者の目的と書類の役割を整理しないまま運用すると、合法木材証明書だけで間伐材マークを表示してしまう誤りが起きやすい。

正しい間伐材マーク表示のための手順

Step 1: 原木調達先との書類取得体制の構築

間伐材マーク表示の起点は原木調達段階にあり、仕入れ先が森林組合であれ素材生産業者であれ、最初に確認すべきなのは「施業記録を発行できるか」という一点であるため、発行できない業者からの仕入れはマーク表示製品の原料から除外する必要がある。

具体的には以下の書類を調達先に依頼する。

  • 伐採届または伐採及び伐採後の造林届の写し(市町村林務担当部署受理印付き)
  • 施業記録簿(伐採箇所の地番・樹種・材積・伐採方法の記載があるもの)
  • 間伐施業を証明する造林補助金交付決定通知書(該当する場合)
  • 合法木材証明書(ゴーホー認定事業体発行のもの)

このうち伐採届と施業記録簿は必須であり、造林補助金の交付実績がある場合は、その通知書が加わることで間伐施業の証明はかなり強くなる。補助金は間伐にしか出ないため、交付実績そのものが間伐の根拠になりやすい一方で、自主間伐の場合は補助金交付がないため、確認の中心は施業記録簿になる。

天竜地域では、静岡県森林組合連合会が独自に「間伐材証明書発行システム」を運用している。森林組合が実施した間伐施業のデータをデジタル管理し、製材所からの照会に即座に応答できる仕組みであるため、こうした地域独自の取り組みがある場合は、書類取得の安定化と照会時間の短縮の両面で活用しやすい。

Step 2: 内部でのロット管理体制の確立

原木を受け入れた後は、製材・加工の工程で「証明のある材」と「証明のない材」を物理的に分ける必要があり、多くの製材所では土場で丸太を混積みするものの、間伐材マーク製品を扱う場合は証明材専用の土場区画を設けることが求められる。

岐阜県のある製材所では、土場を3区画に分けている。A区画は間伐材証明あり、B区画は合法木材証明のみ、C区画は証明なしという整理であり、各区画には看板を立て、重機オペレーターが誤って混ぜないよう徹底している。この区分けを怠ると、後工程で「この製品はどの原木から作ったか」を追えなくなる。

製材後の管理も同様であり、製材品には原木ロット番号を印字または札掛けし、どの原木から製材したかを記録したうえで、ロット番号と施業記録を紐付けた台帳を作成し、製品出荷時にはその台帳から証明書を発行する体制を整える必要がある。

台帳の様式に決まりはないが、最低限以下の項目は記録する。

  • 原木受入日
  • 原木ロット番号
  • 調達先名
  • 施業記録書類番号
  • 製材日・製材ロット番号
  • 製品出荷先・出荷日

この台帳は紙でもExcelでも構わないが、後から検索・照会できる形式にしておく必要があり、取引先から「この製品の産地を教えてほしい」と問い合わせがあった際に即座に回答できるかどうかは、日常の運用精度だけでなく事業者の信用にも直結する。

Step 3: 全森連への使用登録申請

間伐材マークを製品に表示するには、全森連への使用登録が必要であり、登録は全森連のウェブサイトから申請書をダウンロードし、必要事項を記入して郵送またはメール送付する。登録料は無料だが、年次報告義務がある。

申請時に求められる添付書類は以下の通り。

  • 事業者の履歴事項全部証明書(法人の場合)
  • 原木調達先リストおよび調達先との契約書または覚書の写し
  • トレーサビリティ管理体制を示す資料(台帳様式や土場区分図など)

全森連は提出書類を確認し、体制が整っていると判断すれば登録を承認するが、前述の通りこれは監査ではなく、書類が形式的に揃っていれば登録されるため、登録後も自社の責任で適正表示を維持し続けなければならない。

登録が完了すると、マークのデジタルデータが提供される。事業者はこのデータをもとに製品パッケージや納品書へマークを印刷するが、色・サイズ・配置には全森連が定めるガイドラインがあり、これに従わない表示は認められないため、たとえば背景色が濃い場合は白抜きマークを使う、最小サイズは縦15mm以上とするといった規定まで確認しておく必要がある。

Step 4: 製品表示とエンドユーザーへの情報提供

マークを製品に表示する際は、マークだけを印刷してはならず、周辺に以下の情報を併記する義務があるため、表示設計の段階でスペースと記載ルールをあらかじめ確保しておく必要がある。

  • 表示事業者名
  • 産地(都道府県または地域名)
  • 樹種名

産地表示は「国産材」だけでは不十分であり、「秋田県産」「吉野産」「九州産」など、少なくとも都道府県レベルまで特定する。複数産地の原木を混合使用している場合は「秋田・岩手県産」のように併記するか、「東北産」とまとめて表記する。

樹種は主要樹種を記載する。スギ・ヒノキの混合材であれば「スギ・ヒノキ」と両方書き、広葉樹の場合も「ナラ・ブナ」など具体的な樹種名を記す。「雑木」「その他広葉樹」という曖昧な表記は避けたい。

エンドユーザー向けの情報提供として、製品パッケージやウェブサイトに「この製品は間伐施業によって生産された木材を使用しています」といった説明文を添えると、マークの意義は伝わりやすい。もっとも、「環境に優しい」「CO2削減に貢献」といった環境訴求は、具体的な根拠データがない限り控えるべきであり、根拠のない環境訴求は景品表示法上の優良誤認に該当するリスクがある。

前提条件と必要な書類・体制

間伐材マーク表示を始めるには、以下の前提条件を満たす必要がある。

法的前提

事業者が木材関連事業者(製材業・木材加工業・木材販売業)として登記または開業していることが前提であり、個人事業主でも登録可能だが、屋号または氏名での登録となる。

クリーンウッド法に基づく木材関連事業者の登録を済ませていることが望ましく、クリーンウッド登録は義務ではないものの、登録事業者は合法木材証明書の発行が容易になるため、間伐材マークの運用と組み合わせやすい。

調達先との関係

原木調達先が施業記録を発行できる体制にあることが必要であり、森林組合・素材生産業者・自伐林家のいずれから仕入れる場合も、事前に「施業記録を発行してもらえるか」を確認する。発行できない場合は、その調達先からの原木を間伐材マーク製品の原料から除外する判断が必要になる。

調達先が複数ある場合は、それぞれと覚書または契約書を交わし、書類提供のルールを明文化しておく。口頭約束だけでは、担当者が変わった際に書類が途絶えるリスクを抑えにくい。

内部体制

原木受入から製品出荷までのトレーサビリティ台帳を作成・管理できる人員を配置し、専任である必要はないものの「誰が管理責任者か」を明確にしておく必要がある。責任者が不在のまま運用すると、台帳の更新が滞り、気づいたときには数カ月分の記録が欠落している事態にもつながりかねない。

土場や製材工程での物理的な区分けができることも重要であり、証明材と非証明材を混ぜない仕組みを設備面でも運用面でも整える。新たな設備投資は必須ではないが、区画を明示する看板や色分けした札など、現場作業者が一目で判別できる工夫は必要になる。

プロと初心者の差が出る3つのポイント

ポイント1: 施業記録の「深さ」を見極める

初心者は施業記録が「ある」か「ない」かだけを確認しがちだが、プロはその記録の中身を精査し、たとえば施業記録に「間伐」と記載されていても、それが本当に森林法で定義される間伐(残存木の成長促進を目的とした伐採)に該当するか、皆伐後の末木処理を「間伐」と誤記していないかという点まで確認する。

智頭地域のベテラン製材業者は、施業記録を受け取ると必ず「伐採率」を確認する。間伐であれば伐採率は通常30〜40%の範囲に収まるが、これが60%を超えていれば実質的には皆伐に近く、そうした材を間伐材として扱うと後日トラブルになる可能性が高まる。

施業記録に地番が記載されている場合、その地番が本当に森林であるかを森林計画図で確認する手間も惜しまない。まれに農地や宅地の庭木伐採を「間伐」として記録する事例があり、こうした材を混入させると制度全体の信頼性を損なう。

ポイント2: ロット分割の判断基準を持つ

初心者は「証明材」を一つのロットとして扱いがちだが、プロは産地・樹種・伐採時期ごとにロットを細分化する。これは製品の付加価値を高めるためであり、たとえば「吉野産ヒノキ」と「天竜産スギ」を同じロットで管理すると、製品には「奈良・静岡県産スギ・ヒノキ」としか表示できないが、別ロットにすれば「吉野産ヒノキ」単独の製品を作れるため、吉野ヒノキの市場評価を販売に反映しやすくなる。

ロットを細分化すると管理の手間は増える。だが、製品の訴求力は上がる。この判断ができるかどうかで、間伐材マーク製品で利益を出せる事業者と出せない事業者の差が広がっていく。

ポイント3: 取引先への説明能力

初心者は「間伐材マークを付けました」で説明を終えがちだが、プロは取引先に対し、「この製品の原木は〇〇森林組合が△△地区で実施した間伐から出たもので、施業記録はこちらです」と具体的に説明できる。

取引先が大手ハウスメーカーや公共建築の設計事務所である場合、環境配慮型資材の調達方針に基づいて間伐材の使用実績を求められることが多いため、その際は単にマークを見せるだけでは足りず、トレーサビリティ台帳や施業記録のコピーを提示できる体制が必要になる。この対応ができる事業者は継続取引につながりやすく、できない事業者は単発で終わりやすい。林野庁「木材利用促進に関する実態調査」(令和4年度)によれば、公共建築物における木材利用において国産材比率は約87%に達しており、そのうち産地証明を求められる案件は年々増加傾向にある。

日田地域のある製材所では、間伐材製品の納品時に必ず「産地証明レポート」を添付している。A4用紙1枚にまとめた簡易資料だが、そこには伐採地の写真・施業実施者名・伐採時期・樹種が記載されており、この一手間が取引先の信頼獲得につながって、同社は公共建築案件で指名されるようになった。

現場での判断基準: いつ間伐材マークを使わない選択をするか

間伐材マークはすべての間伐材製品に表示すべきものではなく、表示しない方が良い場合もあるため、その判断基準を以下に示す。

施業記録の信頼性に疑義がある場合

調達先から施業記録を受け取っても、内容が曖昧または明らかに不自然な場合は、マーク表示を見送る。たとえば伐採面積が0.1haと記載されているのに材積が100㎥と記録されている場合、面積か材積のどちらかに誤記がある可能性が高く、こうした記録をもとにマーク表示すると、後日の検証で矛盾が発覚して事業者の責任が問われる。

疑義がある場合は調達先に確認を求めるが、明確な回答が得られなければ、その材は非マーク製品に回す。現場では「たぶん大丈夫」という判断を持ち込まない運用が求められる。

混合材で産地特定が困難な場合

複数の調達先から仕入れた原木を混合して製材する場合、産地表示が「全国産」のように広範になってしまうため、こうした表示は間伐材マークの価値を薄めることになり、あえて表示しない選択もある。間伐材マークの強みは「産地の明確さ」にあるため、産地が曖昧な製品には使わない方が運用の整合性を保ちやすい。

取引先がマークを評価しない場合

取引先が間伐材マークに関心を持たず、価格だけで判断する場合は、マーク表示に必要なコスト(書類管理・ロット分け)が回収できないため、そうした取引先向けには非マーク製品を供給し、マーク製品は環境配慮を評価する取引先向けに絞るという使い分けが利益確保につながる。

北海道のある製材所では、取引先を「マーク評価型」と「価格重視型」に分類し、前者には間伐材マーク製品を、後者には通常製品を供給している。この戦略により、マーク製品は全体の3割だが、利益率は通常製品の1.5倍を維持している。

違法表示を避けるための最終チェック項目

製品出荷前に以下の項目を確認し、一つでも欠けていればマーク表示は見送るという運用を徹底することで、現場判断のぶれを抑えやすくなる。

  • 施業記録が揃っているか(伐採届・施業記録簿)
  • 合法木材証明書があるか
  • 原木ロットと製品ロットの紐付けが台帳で追えるか
  • 産地・樹種表示が正確か
  • 全森連への使用登録が有効か(年次報告を提出済みか)
  • マークのデザイン・サイズがガイドラインに準拠しているか

このチェックリストを出荷担当者と品質管理担当者の両方が確認し、双方の押印をもって出荷可とする運用にしておくと、ヒューマンエラーを防ぎやすいうえ、問題が起きた際の責任所在も明確にしやすい。

間伐材マーク製品を扱う事業者が知っておくべき関連制度

クリーンウッド法との関係

クリーンウッド法は合法伐採木材の流通を促進する法律であり、木材関連事業者に合法性確認の努力義務を課している。間伐材マークとは直接の関係はないが、合法木材証明書の取得という点で重なるため、クリーンウッド登録事業者は合法木材証明書の発行・受領が制度化されており、間伐材マークの運用と併用しやすい。

林野庁の調査によれば、令和5年度時点で登録木材関連事業者数は約9,800事業者に達している。このうち間伐材マーク使用登録も行っている事業者は約600と推定され、両制度を併用することで国産材の付加価値向上を図る動きが広がっている。

森林認証(FSC・SGEC)との併用

FSCやSGECといった森林認証材に間伐材マークを併記することも可能であり、認証材はすでに持続可能性が第三者によって確認されているため、間伐材マークを追加表示することで「認証林の間伐材」という二重の訴求ができる。ただし両方のマークを表示する場合は、それぞれのガイドラインに従う必要があり、FSCは商標使用規定が厳格でマークの配置・サイズに細かい制限があるため、事前確認が欠かせない。

地域材認証制度との関係

各地域には独自の地域材認証制度があり、たとえば「あいち認証材」「とちぎ材」「やまぐち県産木材」などがある。これらの認証と間伐材マークは併用可能であり、むしろ併用することで「県産材かつ間伐材」という位置づけを明確にしやすいため、地域材認証の多くは都道府県が運営していることも踏まえ、認証手続きは各自治体の林務担当部署に問い合わせると整理しやすい。

ベテランが実践する運用の効率化手法

間伐材マークの運用を続けると、書類管理と台帳記録の負担が大きくなるため、ここではそれを効率化する現場の工夫を紹介する。

施業記録のデジタル化

紙の施業記録をスキャンしてPDF化し、ファイル名を「調達先名_原木ロット番号_受入日」の形式で統一する。こうしておけば、後から検索する際にロット番号で即座にファイルを特定でき、クラウドストレージに保存すれば営業担当者が外出先で取引先に資料を見せる運用にもつなげやすい。

台帳のクラウド化

トレーサビリティ台帳をGoogleスプレッドシートやExcel Onlineで管理し、複数の担当者が同時にアクセスできるようにすることで、受入担当・製材担当・出荷担当がそれぞれのタイミングで台帳を更新でき、リアルタイムで製品の状況を把握しやすくなる。紙の台帳では更新のタイムラグが生じ、「この製品はどこまで記録したか」が曖昧になりやすい。

ラベル管理の自動化

製品に貼るラベルをバーコード化し、バーコードに原木ロット番号を埋め込む。出荷時にバーコードを読み取れば、台帳から自動的に産地証明書を生成できるシステムを構築している事業者もあり、初期投資は必要になるものの、年間出荷量が1,000㎥を超える規模であれば、人件費削減効果で回収を見込みやすい。

新潟県のある製材所では、バーコード管理システムを導入した結果、出荷時の書類作成時間が1件あたり30分から5分に短縮された。年間約400件の出荷があるため、年間で約160時間の工数削減に成功している。

関東・北陸・九州の高温が間伐施業に与える影響

2026年7月20日時点の気象状況を見ると、関東(茨城)では最高気温36度、北陸(新潟)では34度、九州南部(宮崎)では35度と各地で猛暑日が続いており、この時期の間伐施業は熱中症リスクが極めて高いため、実務上は早朝と夕方に作業時間を限定する森林組合が多い。

高温期の間伐は作業効率が落ちるため、施業面積が計画より縮小する傾向があり、その結果として夏場に予定していた間伐材の出材が遅れ、製材所への原木供給が滞るケースも出てくる。間伐材マーク製品を安定的に供給するには、こうした季節変動を見越して原木在庫を積み増す必要があるが、夏場の高温多湿は原木の変色・腐朽リスクも高めるため、土場での散水や日除けネットの設置といった対策も欠かせない。

北海道(釧路)では最高25度と比較的冷涼で、この時期でも間伐施業を終日実施できる環境にある。そのため夏場の間伐材調達は北海道産に重点を置く製材所も存在し、産地ごとの気候特性を踏まえた調達計画が、間伐材マーク製品の安定供給を下支えしている。

ベテラン事業者の言葉: 間伐材マークは信用の証だ

秋田のある製材所の社長は「間伐材マークは売上を伸ばす道具じゃない。取引先に『この会社は嘘をつかない』と示すための信用の証だ」と語る。同社は20年以上間伐材マーク製品を扱ってきたが、その間一度も違法表示の指摘を受けたことがなく、それは施業記録を一枚も欠かさず保管し、疑わしい材はマーク製品に混ぜないという姿勢を徹底してきたためだという。

間伐材マークを正しく運用すれば、それは事業者の管理能力を示す指標にもなり、書類が揃い、ロットが追え、産地が明確な製品を安定供給できる事業者は、マークの有無にかかわらず取引先から信頼されやすい。つまり間伐材マークの本質は、事業者自身の品質管理体制を可視化することにあり、この視点を持てば、マーク表示を単なる販促ツールではなく経営の根幹を支える仕組みとして捉えやすくなる。

この記事は「林業経営の完全ガイド — 収益構造から事業計画まで」の関連記事です。林業に関する体系的な知識はこちらのガイドをご覧ください。

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