担い手98.7万人の農業を支える外国人 — 特定技能が技能実習を逆転した産地のいま
この記事のポイント
- 担い手は40年で7割減った:基幹的農業従事者は1985年の346万人から2025年の102.1万人へ約70.5%減り、最新の2026年調査では98万6,600人(約98.7万人)・平均67.7歳/70歳以上が56.5%を占める。
- その裏で外国人材は6.8万人に拡大した:農業分野の特定技能と技能実習の合計は2021年12月末の30,754人から2025年12月末の67,905人へ2.2倍になった。
- 2025年12月末、特定技能が技能実習を逆転した:特定技能39,234人 > 技能実習28,671人。前年は技能実習が2,304人多かったが、1年で差が逆向きに10,563人開いた。「実習」から「就労」への主役交代である。
- 世代はきれいに反転している:担い手は70歳以上が56.5%を占めるのに対し、特定技能1号の農業は18〜29歳が50.7%。ただしこの主役交代は制度に依存しており、受入れ上限と2号試験の狭さが次の制約になる。
日本の農業の担い手が、100万人を割った。農林水産省の最新の調査で、基幹的農業従事者は98万6,600人、平均年齢67.7歳。ほぼ同じ時期、もう一つの数字が静かに入れ替わっていた。農業分野で働く外国人材のうち、在留資格「特定技能」の人数が「技能実習」を初めて上回ったのである。長らく日本の農業現場の外国人材といえば技能実習生を指したが、その前提が崩れた。
本レポートは、この入れ替わりが何を意味するのかを、公的統計だけで組み立てて確かめる。出入国在留管理庁の在留者数、厚生労働省の届出統計、農林水産省の農業構造動態調査。問いは一つ——縮み続ける日本の農業労働を、いま誰が支えているのか。以降は時事の文脈を知らなくても読めるよう、統計の構造そのものから追っていく。
1. 縮む担い手 — 40年で7割減
外国人材の話に入る前に、埋めるべき穴の大きさを確かめておく必要がある。まず日本人を含む農業の担い手そのものが、この40年でどれだけ縮んだのかを見る。指標は「基幹的農業従事者」——個人経営体の世帯員のうち、ふだん仕事として主に自営農業に従事している15歳以上の人数である。5年に一度の全数調査である農林業センサスの系列で並べる。
基幹的農業従事者数の推移(万人)
5年に一度の全数調査(農林業センサス)の系列のみで作図。2025年は概数値。標本調査である農業構造動態調査の値は調査手法が異なるため本図には接続していない。
40年で約70.5%減。直近5年(2020→2025年)でも約34.2万人が抜けた。減少幅そのものは前の5年より小さいが、母数が縮んだぶん減少率は22.4%→25.1%と上がっている
1985年に346万人いた基幹的農業従事者は、2025年には102.1万人まで減った。約70.5%減、40年で7割が失われた計算になる。しかも減少は止まっていない。2015年から2020年で約39.4万人、2020年から2025年でさらに約34.2万人が抜けている。
ここは正確に読む必要がある。減少の絶対幅だけを見れば39.4万人→34.2万人とやや小さくなっており、一見すると減少は緩んだように見える。だが母数そのものが縮んでいるため、減少率で見ると22.4%→25.1%と上がっている。残っている人数に対する目減りのスピードは、むしろ速くなっている。
では、いま残っている担い手はどういう年齢構成なのか。ここからは毎年実施される農業構造動態調査(標本調査)の最新結果を使う。センサスとは調査手法が違うため人数の水準を直接つなぐことはできないが、年齢の内訳を細かく見るにはこちらが適している。
基幹的農業従事者の年齢階層別構成(千人)
標本調査。総数はこの調査で98万6,600人、平均年齢67.7歳。
最大の階層は75歳以上の34万8,000人で、単独で全体の35.3%を占める。若い側ほど細るピラミッドではなく、高齢側に人数が積み上がった逆三角形になっている
70歳以上が56.5%。一方で29歳以下は1.2%しかいない。75歳以上という一つの階層だけで34万8,000人、全体の35.3%を占める。これは「高齢化が進んでいる」という表現では足りない。人数のかたまりが最高齢の階層に集中し、下から補充されていない構造である。
この形が意味するのは、今後10年で最大の階層がまとめて引退するということだ。減少ペースが加速していたのは偶然ではなく、この年齢構成の必然的な帰結である。埋めるべき穴は、毎年少しずつではなく、階段状に大きくなる。では、その穴を実際に誰が埋めているのか。ここから外国人材の統計に入る。
2. 外国人材の拡大と、2025年12月末の逆転
農業分野で働く外国人材には、大きく2つの在留資格がある。技能移転による国際貢献を目的とする「技能実習」と、就労そのものを目的とする「特定技能」だ。この2つの在留者数を、同じ12月末時点で並べる。本レポートの核心はこの1枚にある。
農業分野の特定技能・技能実習 在留者数の推移(人)
両系列とも出入国在留管理庁の在留者数ベース・同一基準日(各年12月末)。技能実習計画の認定件数ではない。
2024年12月末までは技能実習が多かったが、2025年12月末に逆転。技能実習が初めて減少に転じた同じ年に特定技能が加速しており、両者は入れ替わりで動いている
2021年12月末、特定技能は6,232人にすぎず、技能実習24,522人の4分の1ほどだった。それが2025年12月末には39,234人、6.3倍である。対する技能実習は31,635人から28,671人へ2,964人減り、この4年で初めて減少に転じた。結果、2024年12月末には技能実習が2,304人多かった差が、1年で逆向きに10,563人開いた。
この逆転を額面どおり受け取ってよいかは、比較の土台を確認する必要がある。2つの系列はどちらも出入国在留管理庁が同じ12月末時点で数えた「在留者数」であり、定義が揃っている。技能実習については「技能実習計画の認定件数」という別の統計もあるが、それは年間に認定された計画の数であって、その時点で日本にいる人数ではない。認定件数と在留者数を突き合わせれば、逆転の時期はまったく違って見えてしまう。ここで比べているのは、同じ日に日本に滞在していた人数どうしである。
では、片方が減って片方が増えただけなのか。それとも全体として増えているのか。2つを積み上げて総数の動きを見る。
農業分野の外国人材 総数の推移(特定技能+技能実習・人)
身分に基づく在留資格など、この2資格以外で農業に従事する外国人は含まない。
総数は2.2倍に増えており、単なる資格の付け替えではない。特定技能の構成比は20.3%から57.8%へ上がり、拡大の担い手が入れ替わった
総数は2021年12月末の30,754人から2025年12月末の67,905人へ、2.2倍に増えた。特定技能の構成比は20.3%から57.8%へ上昇している。つまりこの逆転は、技能実習生が特定技能に肩書きを変えただけの現象ではない。直近1年でも総数は6,939人増えており、その内訳は特定技能が9,903人増、技能実習が2,964人減という差し引きになっている。
起きているのは、入口の付け替えである。技能実習は最長5年で、期間を終えれば帰国するのが原則の「実習」の制度だった。特定技能は在留期間を更新しながら働き続けられる「就労」の制度で、技能実習を良好に修了した人は試験を免除されて移行できる。制度が接続している以上、時間が経つほど滞留するのは特定技能の側になる。加えて、技能実習を経ずに試験ルートで直接特定技能として入国する人も増えている。実習を入口とする流れが細り、就労を入口とする流れが太くなった——それが総数の増加と構成比の反転として現れている。
3. 誰が、どこに来ているのか
主役が特定技能に移ったなら、次に見るべきはその中身だ。ここからは出入国在留管理庁が公表する特定技能1号の詳細統計(2025-12-31現在)を使い、国籍・地域、都道府県、年齢と性別の3つの軸で分解する。まず国籍から見る。
農業分野の特定技能1号 国籍・地域別(人)
上位10か国・地域と、それ以外を「その他」として合算(総数37,952人)。括弧内は構成比。2号(1282人)は含まない。
インドネシアとベトナムの2か国で62.9%を占める。技能実習で長く最大勢力だったベトナムをインドネシアが上回っており、送り出し国の構図も入れ替わっている
最大はインドネシアの14,089人(37.1%)、次いでベトナムが9,789人(25.8%)。この2か国だけで62.9%を占める。注目すべきは順位で、技能実習制度の下で長く最大の送り出し国だったベトナムを、インドネシアが上回っている点だ。3位以下はカンボジア3,696人、フィリピン3,496人、中国2,744人と続き、上位に集中する一方で10か国・地域以上に分散してもいる。産地の労働力が特定の一国に全面的に依存する構造ではないが、上位2か国の動向が全体を左右する構造ではある。
次に、その人たちがどこで働いているのかを見る。農業は品目によって労働需要の形がまったく違うため、地域分布は産地の構造をそのまま映す。
農業分野の特定技能1号 都道府県別 上位15(人)
総数37,952人のうち、都道府県が判明している分の上位15。「未定・不詳」はランキングから除外している。
上位5道県で全体の43.9%、上位15道県で76%が集中する。全国に薄く広がっているのではなく、施設園芸と露地野菜の大産地に偏在している
首位は茨城の5,604人で、全体の14.8%を1県で占める。以下北海道3,880人、熊本2,854人、千葉2,236人と続く。上位5道県で43.9%、上位15道県で76%。この偏りは産地の性格と一致している。上位に並ぶのは、施設園芸や露地野菜のように収穫・調製の作業量が大きく、作期を通じて継続的に人手が要る品目を抱えた地域だ。つまり外国人材は「農業一般」に均等に入っているのではなく、労働集約的な品目を持つ特定の産地に集中的に入っている。裏を返せば、これらの産地では外国人材の増減が産地の生産量に直結する段階に来ている。
3つ目の軸は、年齢と性別だ。ここが次のセクションで担い手と対比する土台になる。
農業分野の特定技能1号 年齢階層・男女別(人)
総数37,952人(男22,415人/女15,537人)。
18〜29歳だけで50.7%と過半を占める。一方40代以上では女性が男性を上回っており、年齢が上がるほど男女比が反転する
18〜29歳が19,232人で50.7%、30〜39歳が15,093人で39.8%。合わせて90.4%が30代までで占められている。女性は全体の40.9%だが、年齢帯によって男女比は一様ではない。40〜49歳では女性1,937人に対し男性1,494人と女性が上回り、50歳以上でも同じ傾向が続く。若い層は男性が多く、年齢が上がるほど女性の比率が高まる——選果・調製など、産地の中で女性が担ってきた作業の分布を反映している可能性がある。
4. 世代の対比 — 70代の産業に20代が入る
ここまで別々に見てきた2つの集団——日本人の担い手と、農業分野の特定技能1号——を、同じ年齢区分に揃えて重ねる。人数の規模はまったく違うので、構成比(%)で比べる。この1枚が、いま農業の現場で起きていることをもっとも端的に示す。
年齢構成の比較(構成比%)
調査・対象が異なる2系列を構成比で並置したもの。人数の合算はできない。
担い手は50歳以上に87.4%が集まり、特定技能は29歳以下に50.7%が集まる。同じ産業の労働力でありながら、年齢分布がほぼ裏返しになっている
担い手は50歳以上が87.4%、29歳以下は1.2%しかいない。特定技能1号はその逆で、29歳以下が50.7%、50歳以上は0.5%にすぎない。グラフの形が左右で入れ替わっている。日本の農業の現場では、平均67.7歳の集団と、過半が20代の集団が、同じ圃場で働いていることになる。
この対比は、外国人材が「人手不足の穴埋め」以上の意味を持ちはじめていることを示唆する。担い手の年齢構成が高齢側に偏っている以上、技術を受け渡す相手が国内にいない産地が出てくる。そこに20代・30代がまとまって存在しているという事実は、労働力の量の問題であると同時に、技能の継承先の問題でもある。もっとも、特定技能1号の在留期間は通算5年が上限で、その先へ進むには特定技能2号への移行が必要になる。若さがそのまま定着に結びつくわけではない——この点は次のセクションで数字を見る。
では、国内から農業に入ってくる人の流れはどうなっているのか。新規就農者の推移を並べて、規模感を確かめる。
新規就農者数の推移と内訳(人・年間)
年間のフロー(新たに就農した人数)。在留者数のようなストックではないため、外国人材の総数と直接は比較できない。
総数は2017年から2023年で約21.9%減った。減っているのは自営(親元就農)で、雇われて農業に入る層は横ばい——国内の入口は「継ぐ」から「雇われる」へ細く移っている
新規就農者の総数は2017年の55,670人から2023年の43,460人へ、約21.9%減った。ただし内訳を見ると、減っているのはほぼ新規自営農業就農者——つまり親元を継ぐ形の就農で、41,520人から30,330人に落ちている。一方で新規雇用就農者は9,300人、新規参入者は3,830人と、この期間ほぼ横ばいだ。
ここで規模を比べておきたい。国内から「雇われて、あるいは新たに」農業に入る人は年間13,130人(2023年)。これに対し、農業分野の外国人材は直近1年で6,939人、特定技能だけを取れば9,903人増えている。どちらも「その年に新しく農業労働に加わった人」という同じ性質の数字で見て、国内の雇用就農・新規参入と同じオーダーの規模が外国人材から供給されている。もはや補助的な労働力ではなく、国内の新規参入と並ぶ主要な供給源の一つになっている——これが規模の実態である。
5. 主役交代は制度に依存している
ここまでの4軸で見えたのは、「実習」から「就労」への主役交代である。だがこの交代は、市場が自然に選んだ結果ではない。制度が設計した枠のなかで起きている。したがって枠が変われば、絵も変わる。最後にその制約を3つ確認しておく。
第一に、量の上限がある。農林水産省の資料によれば、農業分野の特定技能1号の受入れ見込数の上限は令和11年3月末までで73,300人。技能実習に代わって令和9年度に創設される育成就労制度の受入れ上限は26,300人と設定されている。2025-12-31時点の特定技能1号は37,952人で、上限の51.8%をすでに使っている。残りは35,348人ほどだ。仮に枠を使い切っても、規模は十数万人にとどまる。基幹的農業従事者が98万6,600人まで減り、なお最大の階層が引退期に入りつつあることを踏まえれば、外国人材だけで穴が埋まる算数にはならない。
第二に、長期定着への道が狭い。農業分野の試験結果(累計)を見ると、特定技能1号の試験は116,973人が受験して104,277人が合格、合格率89.1%である。これに対し、在留期間の上限がなく家族帯同も認められる特定技能2号の試験は、7,842人が受験して3,143人の合格、合格率40.1%にとどまる。2号は全分野統一で「技能検定1級の合格水準と同等」が求められ、農業分野では「国内での実務経験が7年以上の者であれば3割程度が合格する水準」と設定されている。入口は広いが、長く働き続けるための出口は狭い。1号の在留期間は通算5年である以上、いま20代で入っている人たちの多くは、5年後に帰国か2号かの分岐に立つ。
第三に、制度そのものが変わる。技能実習は育成就労へ移行し、令和9年度に制度が創設される。育成就労は「就労目的(特定技能制度への接続)」を明示し、在留期間は原則3年、同じ分野内であれば転籍も認められる(農業分野は1年の制限期間を設定する方針)。本レポートが統計で確認した重心の移動を、制度の側が追認する形になる。同時に、転籍が可能になることは産地間の人材獲得競争が始まることを意味する。上位15道県に76%が集中している現状を踏まえれば、受入れ環境の差が産地間の労働力配分を動かす要因になりうる。
以上をまとめると、産地が置かれている状況はこうなる。担い手は986.6千人・平均67.7歳まで縮み、最大の階層が引退期に入る。その労働力を、いまは67,905人の外国人材が支え、主役は技能実習から特定技能へ移った。だが受入れ枠には上限があり、長期定着の試験は狭く、制度は令和9年度に組み替わる。外国人材の受入れを増やす方向に賭けるのか、省力化と機械化、経営規模の再編に投資するのか。育成就労が始まるまでの数年は、産地がその選択を先送りできる最後の期間になる。
最後に、本レポートで扱えなかった範囲を明示しておく。ここで見た外国人材は特定技能と技能実習の2資格に限られ、身分に基づく在留資格などで農業に従事する人は含まれていない。都道府県別・年齢別の内訳は特定技能1号のみで、2号(1282人)の分布は含まない。また地域分布は在留地ベースであり、実際にどの品目でどれだけの作業を担っているかまでは公表統計からは分からない。それでも、公的統計だけで「誰が日本の農業を支えているのか」という問いに対して、主役が入れ替わったという事実と、その交代が制度に依存しているという構造は、確かに示すことができる。
よくある質問
Q. 「特定技能が技能実習を逆転した」とは、具体的に何が起きたのですか?
農業分野で働く外国人材のうち、在留資格「特定技能」の在留者数が、在留資格「技能実習」の在留者数を初めて上回ったということである。2024年12月末時点では技能実習31,635人に対し特定技能29,331人で、技能実習が2,304人多かった。それが2025年12月末時点では特定技能39,234人に対し技能実習28,671人となり、差は逆向きに10,563人開いた。重要なのは、この2つの系列がどちらも出入国在留管理庁の「在留者数」を同じ12月末時点で数えたものであり、定義が揃った比較だという点である。技能実習計画の認定件数のような別指標との混同ではない。数値は農林水産省「農業分野における外国人材の受け入れ」(令和8年7月)が入管庁の2統計を集計したものに基づく。
Q. 厚生労働省の統計では農業の外国人労働者は何人ですか。この記事の数字と違うのはなぜですか?
厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(令和7年10月末時点)では、産業分類「農業,林業」の外国人労働者が65,153人、その内数である「農業」が64,826人である。本文で扱う入管庁の数字(2025年12月末で67,905人)とは、3つの点で別物である。第一に基準日が違う(厚労省は10月末、入管庁は12月末)。第二に数える対象が違う(厚労省は事業主が届け出た「雇用されている外国人労働者」、入管庁は「在留者数」)。第三に範囲が違う(厚労省の数字はすべての在留資格を含む一方、本文の67,905人は特定技能と技能実習の2資格だけの合計である)。したがって両者を足したり引いたりすることはできず、本レポートでも同一チャートには並べていない。
Q. 基幹的農業従事者98.7万人と、既存のデータレポートにある102.1万人はどちらが正しいのですか?
どちらも公表値だが、調査が異なる。98.7万人(正確には98万6,600人)は農林水産省「令和8年農業構造動態調査」(2026-02-01現在)による標本調査の結果である。一方の102.1万人は2025年農林業センサスの概数値で、こちらは5年に一度の全数調査である。調査手法が違うため単純に接続することはできず、本レポートでも長期推移のチャートにはセンサス系列だけを使い、構造動態調査の値は最新の参考値として本文で扱っている。年ごとの細かい増減を論じるのではなく、「100万人前後まで縮んだ」という水準の把握に用いるのが適切である。
Q. 外国人材が増えれば農業の人手不足は解決するのですか?
現在の制度では、量的な上限が先に来る。農林水産省の資料によれば、農業分野の特定技能1号の受入れ見込数の上限は令和11年3月末までで73,300人、これに代わる育成就労制度の受入れ上限は26,300人と設定されている。2025年12月末の特定技能1号は37,952人で、上限までの残りは35,348人ほどである。仮に上限まで受け入れたとしても十数万人規模であり、98万6,600人まで減った基幹的農業従事者の減少ペースを埋め合わせる規模にはならない。外国人材は特定の産地と品目の労働力として決定的に重要だが、担い手全体の縮小に対する答えとしては、省力化・機械化・経営規模の再編と組み合わせて考える必要がある。
Q. 技能実習制度がなくなると、この構図はどう変わりますか?
技能実習制度は育成就労制度に移行し、令和9年度に制度が創設される予定である。育成就労は「就労目的(特定技能制度への接続)」を明確に掲げており、在留期間は原則3年、同じ分野であれば転籍も可能になる(農業分野は1年の制限期間が設定される方針)。つまり本レポートが示した「実習から就労へ」という重心の移動は、制度側でも追認される方向にある。ただし移行が円滑に進むかは、特定技能への接続、すなわち試験の通過に左右される。農業分野の試験結果(累計)を見ると、特定技能1号の合格率が89.1%であるのに対し、2号は40.1%(3,143人/7,842人)にとどまる。長期の定着を担う2号への道は、1号への入口に比べてはるかに狭い。
出典
- 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和7年12月末現在)第4表・第5表・第9表moj.go.jp
- 農林水産省「農業分野における外国人材の受け入れ」(令和8年7月・経営局就農・女性課)。特定技能・技能実習の在留者数推移は同資料が出入国在留管理庁「職種・作業別 在留資格『技能実習』に係る在留者数」および「特定技能在留外国人数」(各年12月末現在)を集計したものmaff.go.jp
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ」(令和7年10月末時点)別添3 別表4mhlw.go.jp
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(平成20年10月末現在)表4(国立国会図書館WARP保存版)
- 農林水産省「令和8年農業構造動態調査」(令和8年2月1日現在)年齢階層別基幹的農業従事者数
- 農林水産省「農林業センサス」(基幹的農業従事者数の長期推移・e-Stat)
- 農林水産省「新規就農者調査」(e-Stat)
本レポートは情報提供を目的としており、特定の雇用・経営判断や個別の在留資格手続きを推奨するものではありません。在留資格の要件・手続き・受入れ枠は制度改正により変更されます。実際の受入れを検討する際は、出入国在留管理庁および農林水産省の最新の公表情報と、登録支援機関・行政書士等の専門家にご確認ください。 記載の数値はすべて公表統計に基づく引用値で、後日改定される場合があります。特定技能・技能実習の在留者数(12月末・在留者数ベース)と厚生労働省の届出統計(10月末・事業主の届出に基づく雇用者数・全在留資格)は、基準日・集計対象・範囲がいずれも異なるため、本レポートでは同一チャートに並べず、合算・差引も行っていません。基幹的農業従事者について、長期推移は全数調査である農林業センサス、最新の年齢構成は標本調査である農業構造動態調査を用いており、両者は調査手法が異なるため単純に接続できません。年齢構成の比較図は、調査・対象の異なる2集団の構成比を並置したもので、人数の合算はできません。都道府県別・年齢別の内訳は特定技能1号のみを対象としており、2号および身分に基づく在留資格等で農業に従事する外国人は含みません。最新情報は各出典先の公式サイトでご確認ください。
※本レポートはAIを活用して作成し、編集部が内容を確認・監修しています。詳しくは編集方針をご覧ください。

sanchi.jp編集部
一次産業メディア 農業レポート担当
農林水産業のデータと現場をつなぐメディア「sanchi.jp」編集部。公的統計・一次情報に基づき、構造的な視点で一次産業の論点を整理しています。
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